こんにちは、青沼です。
今回は私の担当です。
紅葉の秋! やっと秋~~♪
自宅のベランダから見る六甲山は全体にまだ色づいてはいませんが、ところどころ紅葉が見えてきました。
先日近所の川の河川敷にある『お花畑』に行ってきました。
この時期は一面にコスモスの花が咲き乱れていて、素敵な光景でした。
さてさて、今回は人と人が集い働く場所の『規範』について綴ってみようと思います。
「職場の改善を自我状態PACで考察してみる」
皆さんの職場や所属しているコミュニティで「ルール」は存在しますか?
と聞かれればみな、もちろん! と答えますよね。
ルール、規範は人がいる場所ではどこにでも存在します。
社会規範…法律、交通ルールなど、ありとあらゆるルール
組織規範…経営理念や社是、就業規則などの相互で守るべき規則、遵法・コンプライアンスなど
これらのほとんどが明文化されていますし、遵守することが義務や責任。
どちらかと言うと日本人はこれらのルールにこだわる国民性ではないでしょうか。だから災害時でもある一定レベルの秩序が保たれているのですよね。
これら明文化され目的がはっきりしているものを〖公式規範〗といいます。
で、今日は、それら明白な/明文化されたルールとは次元の異なる、誰が言い出したかやり始めたのかは分からないけど、その場の皆がそれを受け入れそれに従っている…というような、暗黙のルール/了解値…みたいなものに目を向けてみます。
例えばこんな感じ
例1
・ある会合に参加した。自由な席順だったので先頭を避けて2列目左から3席目に座った。2回目の会合でも前と同じ席に座れてホッとする。隣の人も同じだった。
・トイレにいくと、皆がきれいに一列に並んで順番を持っている。あれ、これってどこで習ったかな??
例2 あるビジネスビル。昼休み終了後の女子トイレ。鏡の前はお化粧直しの女子社員がずらり……なんで?? (;’∀’)
例3 初めて訪問する企業。午後の業務開始の10分間は各自の清掃タイム。「素敵な習慣ですね?」と言うと「はい、皆自主的にやっています。僕が入社するずっと前かららしいです」と若手社員。
例4 問題が起こったので呼ばれて緊急対策会議に出席。そういう時でさえマニュアル重視。緊急を要するのに準備に手間取りなかなか会議が始まらない。うちの会社っていつもこう……と心で嘆く
例5 毎日昼食を一緒に食べる職場のあるグループ。主任が言い出して始まったそうな。本当は一人で過ごしたい人もいるが、なかなか嫌とは言い出せない。空気が重い。
1は社会生活ではよくあることですし、お互いに程よい距離を保ちつつ気持ちよく生きていく為の見えないルールとして許容された行動。マナーとかエチケットもそう。
4ははっきりとまずい!といえる例。緊急度の高い事案に対処する柔軟性や瞬発力を持つこと。ぜひ改善しなければなりません。
5も本人は良かれと思っているが、間違ったリーダーシップ。実はこれが世に言うモラルハラスメントの芽になっていく事が多いので、直ぐに教育指導する必要があります。
では2と3はどうでしょうか?
探してみれば、どこの会社・組織でもこの手の習慣化されたものはたくさんあると思います。誰かが何かの理由や目的でやり始める。周囲も最初はなんで?? だったけれど、そう、人間は順応する生き物。だんだんそれを受け入れ、そうすることが当然のようになっていく。良いこともそうでもないことも含めて、よくあること……
これらの全てを〖非公式規範〗といいます。目に見えない暗黙のルールってやつです。
どこかの時点で、何らかの理由や目的をもってそれは始まります。その行為行動について、初めは周囲も違和感を抱いたり否定的に反応したりするものの、やがて受け入れられていく。一旦それに順応すると、理由や目的は忘れ去られてしまうのだけれど、行為行動だけは定着するというパターン。
他にも私が体験した事例を紹介すると
・あるプロジェクトの会議。中心人物のG課長は5分程度遅刻してくる。最初の2回ほどは申し訳なくこそっと入室してきたが、その内だんだんと、5~10分の遅刻は当たり前の状態になる。最初眉をひそめていた人たちもその状態を徐々に容認していく。
“少しぐらいは大目に見てくれ。だって俺はココで一番忙しいのだから”
“仕方ないな、彼は今一番ややこしいのを担当しているから……”
その内に、その会議は〇時10分から本番となる。最初の10分は出席者が彼を待ちながらパスタイム(気晴らし)で過ごす。
もちろん10分×〇人の時間の無駄ってことは暗黙の了解で無視される……
というようなケースは、組織の非公式規範と呼ばれるもので、なかなか見つけにくく非常に扱いにくいです。
先の例1を除き、4つの例と私の事例を整理してみると、
4は、先に書いたように、職場や組織の成長のために直ぐに改善が必要な事例です。
5も同様に、管理職の教育が必須。職場のハラスメント案件にならないような教育が必要です。
いつ、だれが、何の目的で行い、現在その効果性はどうか?
を確認してもらい、関係者に検討してもらいます。
で、少し厄介なのが2・3と私の事例。これは2分化されます。
A;最初の目的は明確であり、それを継続して行うことで業務改善・時間の効率化や皆の
意識の向上が見込まれ、継続には意味があると判断できるもの。
B;最初は何らかの目的はあったものの、行為・行動が形骸化してしまい、いまや目的や
その効果性について値引きされ、“考えていない”状態のまま継続されているもの。
例2は明らかにBで、例3はAの事例ということが分かりますよね。
その会社はいわゆる町工場です。昔は所狭しと物が置かれた雑多な職場環境で、小さな事故がよくあったようです。で、外部から着任してきた総務部長は、ヒヤリハットの多さにびっくり。そこで、事務所から率先して「午後一・10分間清掃」を始めたとのこと。その活動ははっきりと明文化されたわけではなく、部長自らが雑巾を片手に部下に声をかけて始め、次第に皆がそれに追従し、そこから製造のフロアへひろまり習慣化したようです。安全第一は整理整頓清潔清掃・そしてし続ける、つまり5S運動に繋がっていったのですね。
その部長さんも退職されて数年以上経過。
それでもその素晴らしい非公式規範は後進に引き継がれ、今に至っている。それが上記の社員さんの発言。現在も職位の上下関係なく全員で毎日10分間清掃は行われています。
Aの非公式規範が多い職場は健全な職場と言えるでしょうし、Bの非公式規範が多いと窮屈で人間関係や仕事の効率といった点がぎくしゃくしていたりします…
で、これをTAの概念で見たらどうなるか、、、
組織それぞれの組織構造や体質を自我状態という概念・PACで捉えてみます。
健全な組織とはどういう状態をさすのか?
・Parent ego-state(親の自我状態)、Adult ego-state(成人の自我状態)およびChild ego-state(子どもの自我状態)のそれぞれが明確な境界線をもち、その時々の状況や問題に当る際には、適切なエネルギーの流動がスムーズに行なわれる状態。
またそれは、各自我状態の汚染がないか汚染された領域が少ない状態だと表現することもできます。
・さらに、Adult ego-stateの精度が高い状態で「統合されたAdult ego-state」が活動の中心にあ る。つまり3つの自我状態の中心でAdult がしっかり機能していて、組織全体をメタ認知でき、問題や組織の成長課題を見逃さず現実検討できる状態ともいえる。
Parent; 組織理念や活動目標の明確化、社会への貢献を目指す、倫理や遵法
Child; やりがい・生きがいの創生、協働を楽しみ、結果を喜び合う仲間の絆
そしてAdultは、全方位で現実検討し、原因分析・課題設定と実行(PDCA) ……実情にマッチさ
せながら物事を動かしていく。
要は、組織のエネルギーはAdultを中心に流動し、メタシステムが活性化している。
当然ですが、組織活動にトラブルやミスはつきものです。ですから大きな問題に繋がるような“問題の芽”を早く発見し、見つけたら迅速に摘んで事なきを得る……というような組織活動を経営者は目指しています。
しかし残念なことに、Bのような〖非公式規範〗が蔓延っている職場は、いわば組織のPACが機能不全を起こしている状態だと表現するとわかり易いでしょうか。
Adultは全体把握や現実検討の力が弱り、Parentは肯定的なリーダーシップを発揮することがなく、固定概念は新しいものを受け入れる余地がないChildは盲目的・反抗的に“こなす”だけで満足し、そこに変化を求める力もない。
一旦出来上がった習慣は盲目的に順守される。形骸化しているにもかかわらず、そのことをだれも「目的は? 今必要か? 無駄ではないのか? 代替案は?」などとは考えない。そればかりか効果がない/逸脱しているその行為を黙認したり容認したりする…てな感じ。ああ残念~~
実は世に知られている割れ窓理論が、この非公式規範の考え方を使っているんです。
昔ニューヨークの街が暴力や犯罪で荒れ放題だったころ、新しく就任した市長が大ナタを振います。官民挙げて街の清掃活動や取り締まりの強化を実行。数年後、犯罪数は激変し、街は現在のように誰もが憧れる観光とショービジネスで収益を得られる街に変わっていったというお話。
誰ともなく始まった荒廃の原因、それは水に落とした一滴の黒インクのようにじわりじわりの侵食し、あたり一面をグレーに染めていく。1つのゴミがあると、そこにはゴミ箱がないにもかかわらずゴミの山ができる。……これが非公式の規範の怖さです。それを払しょくするには、相当な労力が必要です。
そうならないためには、どうするか?
スタートは同じです。同じようにして誰かが問題を口にして変化を提案する。皆がそれに追従し定着化させられれば、時間がかかったとしても改善に向かいます。
組織のAdultego-stateを十分に機能させるということは“考え、対話する”ということ。形骸化された業務を見直し効果性を分析、改善の必要があるものはPとCを総動員して変化を恐れず変えていく。
そうして役に立たない非公式規範を徹底的に見直していく。目に見えない縛りをクリーンアップする。
またそこに、組織の中の人と人が成果をだす為にTA人が活用しているフレームワーク;契約の技法(コントラクト)を、改善に活用するのもお勧めです(前回をお読みください) 。
ああ、また長々と書いてしまった!!💦
こんな風に、TAは組織活動に汎用することが可能です。
TA101を始め基礎~応用講座には、このような心躍る概念と出会う機会があります。
来年は新しい講座も始まりますので、引き続きHPをチェックしてご参加ください。
ではまた~~~