コロナが日常的な話題となり、
私達の仕事はもとより、生活も大きな変化を余儀なくされて
1年と数ヶ月が経ちました。
その間、緊急事態宣言で不自由を感じていた私達です。
そして今、
それが解除されるとまた新たな心配事が増えているのも現実です。
自分自身のこと、家族のこと、大切な人達のこと、
仕事、学業、趣味、楽しみ、……etc、
コロナの影響を受ける状況下で、私たちはいろいろと悩みます。
それらが全く関係のない時でさえ、私たちはいろいろと悩み、考えます。
その悩みや考えが頭の中でぐるぐる、ぐるぐる
同じところを回ってしまうことも経験します。
途中で考えることに疲れてしまって、諦めてしまうこともあるかもしれません。
そして忘れてしまう。
その厄介な課題は、忘れてしまった頃に思い出し、そこからまた悩む……。
人間は悩む! そして、考え続ける by abetomo
なんとなく、17世紀のフランスの思想家パスカルの
「人間は考える葦である」を思い出してしまいました。(^^
パスカルのその考えは
「人間は自然のうちで、最も弱い一茎の葦にすぎない。
だが、それは『考える葦』である」から、
自然の中での人間のか弱さと、思考する存在としての
人間の偉大さ、凄さを言い表しているそうです。
確かに人間は「考える」と言う力を持った生物です。
一人一人の今までの学びや経験を使って、
新しい何かを作り出すことができるのは私たち人間の特権ではないでしょうか。
確かにそういう視点からは、私達は偉大な存在だと思います。
日々、私達の目の前でいろいろな出来事が起こり、課題や問題が発生しています。
サクサクとそれら課題や問題を解決することができる時もあれば、
- なぜなんだろう?
- なぜこんなことばっかり私に起こるんだろう?
- こんなに一生懸命やっているのにどうして?
- あいつ!
- 私なんか……
- もうどうでもいい。
- 何これ?!……
に加えて、
- 落ち込んだり腹立たしく思ったり……
私たちは悩める葦です。
周りの影響をモロに受けて
「考える」どころではなく、
ただただ目の前のやるべきことをこなす状態になることもあります。
考えることで、押しつぶされそうになることもあります。
気がついたら、心身の健康を害している時もあります。
私は考えすぎて、身も心もボロボロという状態の時に
であったのがTA でした。
ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、
30数年前に当時勤めていたところで開催された研修で、
ホワイトボードに書かれた三つの丸の中に
PACと書かれたダイヤグラムに私は出会いました。
これです!
今も鮮明に覚えている私が最初に出会ったTA理論です。
その前の職場では、自分自身でも、周囲から見ても
順風満帆の状況で仕事をさせて頂いていたにも関わらず、
突然健康を崩し会社に行けなくなりました。
複数の病院で診てもらっても原因が分からず、
数ヶ月間の自宅療養をしていた時期がありました。
そのホワイトボードに書かれた3つの丸が上下に
連なった図式(自我状態構造モデル)の説明を聞いて、
私が体調を崩し会社に出社できなかった理由が突然ひらめき、
そして納得したのです!
「えっ! そんな思い込みで悩んでたん、私?!」
って、その時叫んだようにも思います(^^
私は、TAの自我状態構造モデルというものへの学びを通して、
自分の内面で作り上げたある種の思い込みがあったことに気づき、
その思い込みが原因で無意識に自分を苦しめ、
体調を崩していたということに納得しました。
困難な状況を異なる視点で見ることで、
私の場合は、健康を取り戻せることができました。
それまでとは異なる新しい視点を得ることで、
最初の思い込みとは違った意味付けができる。
自分が見ていた世界が変わる!
私にとってはこの経験は、
忘れられない体感覚として今も残っています。
この経験から、
人が持つ素晴らしさ、力強さに気づきました。
……人間は考える葦である(^^)
目の前の出来事を一つの視点から見るだけではなく、
最初とは異なる視点から見ることで、
目の前の同じ出来事が違うものとなる。
この魔法のような一瞬の出来事は、
私をTAの世界に引き込むだけの十分なパワーを持っていました。
そして、今の私です。
私にとって TA は、私自身の人生を考えるツールとして存在します。
私にとって、目の前の出来事を1方向から見るのではなく
2つ目、3つ目、……と複数の視点を与えてくれるのが
TA理論であり、いろいろな概念です。
ここからは、私が
TAの理論やいろいろな概念を、実際にどう使っているのかをお伝えします。
まず基本的に、新しい視点とか新しいアイデアは、
目の前にある出来事や課題、問題に対して、
突然降って湧いてくるわけではありません。
そこには、いくつかの要素、要因が必要です。
まず、
目の前にある出来事や課題と、
それをなんとかしたいと思う気持ちと、
私たちの頭の中にある今までの学びや経験です。
それらがあってこそ生まれてくるものなのです。
☆ 閃きの法則(仮称)……この原稿を書きながらの命名!
出来事や課題・問題
+ なんとかしたい(幸せになる)……コントラクト
+ 今までの学びや経験
⇒ 新しい視点やアイデア
⇒ 新しい関わり
例えば、私個人の例を使ってみます。
普段の人間関係の中で、
「この人信じられない」というような発言や行動に遭遇することがあります。
そんな場合は自動的・反射的・無意識に、
一言で言うと「排除する」という考えや行動に向けて動き出してしまいます……が、
このまま排除はできない、したくない。
一緒に何かを作り上げたい。
近づきたい!という想いがある。
そこから、次のプロセスへ進みます。
前回のブログで紹介させていただいた、私が推し進めている
「個人のリソース」という考え方を応用すると、
目の前のこの信じられない言動をする人にも
その人なりのストーリーがあると考えることができる。
この人、
ストロークは足りてるかな?
安心・安全を感じているのかしら?
どんな準拠枠をもっている?
……と、
私にとっては信じがたい発言や行動をしている人のストーリーを
考える余裕が生まれます。
「目の前の信じられない言動をする人」と
「個人のリソース」の考え方との出会いから生まれる新しい視点!
そこで、私の中に発令・動き出しそうになった
排除するという考えや行動が少し落ち着きます。
いや、「少し」のレベルではないかもしれません。
むしろ感情的には鎮火・鎮圧という言葉がふさわしいレベルにまで落ち着き、
OK 牧場のI am OK - You are not OK ポジションから、
I am OK - You are OKのポジションに戻れることが多いです。
新しい視点で物事を捉えれば、新しい関わり方が生まれます。
なぜそのような考えや行動になるのかを自分の中で推測したり、
ビジュアル化したりすることもできます。
そこから、その場面での私の目指すもの、
手に入れたいものに忠実に向かっていきます。
それは決して、相手を排除するということでもなく
相手からの逃避という手段でもなく
相手や物事に無関心になることでもありません。
ここで、大切なのは
一連の流れの3つ目である「今までの学びや経験」の
どれを使うか、ということです。
適切に、選ぶためには、スキルアップが必要です。
スキルアップするためには、練習が不可欠です。
今までに学んだTA理論や、いろいろな学びや概念を
使いこなせるようになるために繰り返し、繰り返し試す。
そしていい使い勝手感を手に入れられるかどうかが
とても重要です。
今までの自動的・反射的・無意識のやり方(使い慣れたツール)ではなく、
新しいやり方に慣れることが求められます。
何をするにも最初は、みんな下手っぴです。
何度も練習を重ねることで、
自分の手や体に馴染み、使いこなせるようになります。
注:国際TA教会公認の資格取得に
1,000時間前後の実践時間が求められる所以です。
スキルアップするには、それらの使い方について
他の人達との情報交換や、スーパービジョンが役立ちます。
それは、私達の日常生活の中でも同じだと思っています。
お料理でも、お掃除でも、
メイクの仕方でも、
子育てや、恋愛や、仕事のやり方、……
自分だけのやり方、進め方ではなく
他の人達の経験を聞くこと、
教えてもらうことで、スキルアップします。
他者との情報交換!
自身の成功体験だけではなく、
失敗体験でさえ、他の人達にとっては学びとなります。
新しい視点が生まれるきっかけを作ります。
プロフェッショナル/専門家の方々におすすめなのは、
TAスーパービジョンです。
専門家を育成・サポートするためのセッションです。
専門家が支えるクライアントに利益をもたらすことにつながります。
スキルアップに気軽にチャレンジしましょう!
Transactional Analysis……
TAは、人とのやりとりに役立ちます。
TAは、自分を知り、他者を知るのに役立ちます。
私達は、やりとりをすることで、ストロークを得、元気になり、成長します。
TAは、人生や日々を考えるための便利ツールです。
その使い方と、磨き方を
TAシュハリズム研究会では、
いろいろな講座の中でお伝えしています。
道具って、使えば使うほど手に馴染み、自分の一部となります。
日常で、どんどん使ってみてください。
担当:あべともこ