目次:
♦ TA理論を教えるプロです。
◆ 「TA理論を教える」教え方を学ぶ
♦ TeachingとLearningとの相互作用を理解する
♦ 「今ここ」と「自律」を常に意識する
♦ TAの哲学を実践する
♦ 教える側と学ぶ側が共に創りだす新しい世界
♦ TA理論を教えるプロです。
TA(交流分析)には、たくさんの理論や概念があります。
TA101(TA入門コース)で扱われる理論は、以下の参照ページにあります。
(参照:ITAAのHandbook Section 4.2, The TA101 course outline)
二日間のTA101コースでは、最低14時間でリストの一部を提供することになっている。
資格取得のために、
第一部には、筆記試験があります。
その筆記試験に合格するためには、少なくとも
TA101コースのリストにある理論すべてを理解し
教える経験を積んでいることが求められます。
資格取得までに、相当数の実践、アウトプットが求められます。
筆記試験に続き、口頭試験に合格、はれて「CTA」となったのち、
教授メンバーにTA101二日間コースの実践を
ライブでスーパーバイズしてもらうプロセスを経て、
TA101を実際に実施・提供できる人である証として
TA101インストラクターとして認定証が発行されます。
遠い道のりです。確かに!!!
振り返るとやってよかったと思える5年間の準備期間です。
♦「TA理論を教える」教え方を学ぶ
講座やワークショップで、TA理論を教える際に
資料を渡し、資料の内容を説明するだけでは、
TAを教えるプロフェッショナルとは認められないのです。
CTAになるためには、「教え方」を学ぶ必要があります。
そこで、1200時間以上の実践体験が求められます。
とてつもない時間数です。
その数字を見て、ハードルが高すぎ!!!で諦めることになりかねません。
でも、その経験が違いを生み出すと私は実感しています。
それは、他者との比較ではなく
それぞれのCTAトレイニーが、試験準備のプロセスで
TAの理論を学ぶ ➡ 学びをアウトプットする ➡ 学ぶ
➡ さらにアウトプットする ➡ 振り返る・・・
を繰り返す中で、どんどんと変化・成長し続ける。
まさしく、「変容」していくプロセスを私は経験しているのです。
資格取得時には、現在1200時間の実践が必須です。
それを契約期間内で実践するということは、
単純に1200時間÷5年間=240時間/年が求められます。
5年間の契約期間内に第二段階目の口頭試験を受験しなければならないので、
実際は、4年とか長くて4年半ぐらいの期間での実践完了が求められます。
単純に、計算すると
1か月22~25時間あまりのTAを教える時間を持つということです。
しか~~し、TA理論を教えるという体験時間・経験を積むということは、
いろいろな学習者に遭遇することになります。
ある場面では、うまく伝えられたけれど、
異なる場面や、違った集団では伝えきれない自分に気づきます。
そこで、スーパーバイザーや仲間達からの
フィードバックや学びをもとに、チャレンジを繰り返すうちに
今までとは異なる「教え方」などを学ぶことになります。
「教え方」は、経験値だけではなく、TA理念や概念に加えて、
いろいろな教育理論や心理学、脳科学、生物学等の考え方、
そして、教える側のTA以外の今までの学びや経験なども取り入れるなど
多面的なリソースや考え、情報、経験を応用します。
「教え方」を学ぶ中で、
自分自身の価値観を見直すことは、大きなウェイトを占めます。
スクリプト、ドライバー、ゲーム、
ラケット感情や、ラケッティアリング、
ライフポジション、ディスカウントなどなど、
ありとあらゆるTA理論と自分自身を重ね
自身を見直し、「自律」を育て、確立していきます。
言い方を変えると
1200時間の実践を通して、スクリプトからの脱却を余儀なくされる。
それ通過するなかで、教育分野のCTAとしての教え方・生き方を学びます。
♦TeachingとLearningとの相互作用を理解する
教える側(Teaching)と学ぶ側(Learning)の間で起こる
相互作用を俯瞰・理解するためにTA理論や概念を活用します。
教える側から学習者を見ると、
なぜ、理解が進まないのだろう、
なぜ、行動に結びつかないのだろう
なぜ、なぜ、なぜ???が生まれます。
・・・・
学ぶ側から教え側をみると、
教え方がまずい・・・・それは、学ぶ側にNot-OK感を与えることにもなる
頭ごなしに言われているようで、やる気を失う。
何を学んでいるのか分からない。
・・・・
この2者間(教える側と学ぶ側)の深い溝を
TA理論や概念を心理的フレームワークとして活用し埋めていくプロセスが、
教育者としての醍醐味を味わう瞬間を作り上げてくれるのです。
前述の「教え方」で自分自身に突き付けられた
自分自身の価値観をはじめ、
スクリプトが影響しうまくいかない思考・感情・行動を俯瞰し、
自分自身を自律の方向にもっていくためにTAを活用する。
今までと異なる「教え方」が閃く瞬間です。
同時に
目の前の学習者が持つうまくいかない思考・感情・行動をアセスメントし、
教える側がそれらを緩めるために何ができるかを的確に判断、
学習者の自律を促す教え方の工夫がそこでも求めら、そこにチャレンジする。
ここにも、TA理論と概念が役立ちます。
♦「今ここ」と「自律」
TA教育者は、講座やワークショップ内で起こる、
様々な出来事に注意を向け「今ここ」での不一致や課題、
問題に気づくことが求められます。
それら不一致や課題、問題の裏には、
さまざまなディスカウントが起こっていることも多く、
そのまま放置してしまうと、
さらに深刻な問題を引き起こす危険性が存在します。
「今ここ」での気づきや閃きは、TA教育者にとってとても重要なポイントです。
そして、「自律」
TA Educator(教育者)として、
学ぶ側のすべての人達の自律をサポートするミッションを持っています。
自律は、TAのゴールです。
気づき⇒自発性⇒親密性をとり戻すことが
自律を手に入れることにつながります。
TAの講座をしている限り、
その講座の延長線上に親密性をとり戻す意図があるかどうか、
どの角度からも学ぶ側の自律を導く働き掛けが求められます。
♦TAの哲学
誰でもOKである。
誰でも考える能力を持つ。
誰でも自分の運命は自分で決め、それはいつでも変更することができる。
前述の「教え方」にも深くかかわるテーマです。
教える側と学ぶ側との相互作用として大きなテーマでもあるのがTAの哲学。
I am OK-You are OK.のスタンスでい続ける必要性です。
頭脳レベルではなく、教える側の思考・行動・感情の現し方すべてに
「今ここ」で、TAの哲学が存在しているのか?
常に問いかけ続けます。
これは、1200時間の実践体験で培われる
素晴らしい経験とそこからの学びで自分自身に統合されるでしょう。
♦ 教える側と学ぶ側が共に創りだす新しい世界が始まる瞬間
提供した講座やワークショップが終了する間際に、
講座やワークショップが有意義だったのかどうか?
学ぶ側は学びの内容についてどれくらい満足したのか?
などについて、振り返りの時間を持ちます。
それは、教える側が学ぶ側の期待、求めるもの(Contract)に応えられたのか、
学びは彼らの成長に役立つものだったのかどうかの確認のためであり、
今後の改善のための貴重な時間です。
その振り返りの時、
心の底からその場を共有していることに感謝・感動するときがあります。
学ぶ側の人達の言葉を聴きながら、
考えもしていなかった素晴らしい成長や変化、気づきの言葉を
振り返りの言葉として、彼ら・彼女達から聞けるなんて、
「講師をしていてよかった!」と感激し、感動、感謝します。
それは、教える側へのポジティブな評価(ストローク)というだけで無く
教える側と学ぶ側が相互作用の中から共に創り出した
新しい世界の始まりの言葉を聴くことができる瞬間なのです。
誰もが幸せになるために生まれてきている。共に幸せになれる。
いつの間にか、その幸せから外れ不自由になってしまう私達、
そこに「教育」が寄り添うことで、
自分自身が本来持っていた「幸せになる」パワー(Physis)が動き出します。
その瞬間に立ち会える喜びは、
教える側にさらなるエネルギーを与えてくれます。
そして、次へとつながっていく。
毎回、毎回、
教える側と学ぶ側の相互作用は変化します。
今日は、どんなことが起こるのか?
万全の準備を整えながらも
行きつくところは、
「今ここ」での「自律」への働きかけ。
やめられない(^^