昨年大ヒットした鬼滅の刃
2021年秋、新たなシリーズのTV放映が始まりました。
私は遅れて流行に乗っかったほうですが、
新たなシリーズは家族で楽しんでいます。
新シリーズ「遊郭編」が始まるにあたって、
映画「無限列車編」もTV放映されました。
私は映画を観ていなかったので、
1年遅れて、やっと話題の土俵に乗りました。
「無限列車編」を観ていると、
なるほど、いろいろと心が動かされ感情が動きます。
そんな感情の動きをTAで観察してみると、どうでしょう?
私が味わった感情をTAの目線で綴ってみます。
煉獄杏寿郎をエゴグラムで見ると
煉獄杏寿郎は、鬼を倒す鬼殺隊の最高位剣士で柱の一人。
炎を操る炎柱(えんばしら)です。
一風変わった憎めない愛すべきキャラクターです。
鬼滅に登場する人たちはみんな風変りではありますが。。。
煉獄さんが登場する 無限列車編。
駅弁を食べている場面
列車内で炭治郎たちと会う場面。
煉獄さんは駅弁を食べています。
その食べているとき、一口ごとに「うまい!」を連発しています。
それもはっきりした口調で表情もさわやかでとても嬉しそうに。
この時の自我状態をエゴグラムで書いてみるとこんな感じでしょうか
特徴的なのは「うまい」を感じたまま発言しているので NC がとても高いでしょう。
弁当を作った人への感謝があり NP も高めです。
柱でもあり冷静さは常に保っているので A も安定してあるように思います。
この場面を観ていると、うるさいくらいに「うまい!」を連発しているので、もし、実際に列車の中で会ったら近寄りたくない人ですね。
ただ、その表情には子どものような悪意のない楽しさ、嬉しさだけがあふれているように見えるので、危険は感じられないですね。
炭治郎と会話している場面
弁当を食べ終わった後、炭治郎とふたり席に並んで話しをしている場面。
煉獄さんは、炭治郎の質問に前を見つめながら答えています。
その場面の煉獄さんをエゴグラムで見ると、
質問には端的に回答しているので、A が高く冷静だと思われます。
炭治郎より位が上の煉獄さん。
でも回答から「上から目線」は感じられません。
どちらかというと、しっかりフォローするような、温かく見守る NP の高さを感じます。
ただ、炭治郎を見て回答しているわけではなく、自分のペース、スタンスなので、その自由奔放さから NC も高いように思います。
これまでの場面を観ると、
普段の煉獄さんの自我状態は NC が高い人と考えられます。
鬼との戦いの場面
後半、上弦の参の鬼 猗窩座(アカザ)との戦いの場面ではこれまでは違う自我状態となります。
エゴグラムではこんな感じでしょうか。
自己を鼓舞し、相手に屈しない強い意志、任務を全うしよう責任感の強さは CP の強さが際立ちます。
戦いの中でも周りを意識し見守っている NP の高さもみえます。
また、常に冷静に状況判断し、エネルギーを集約・発散させようとしているのは A の高さがあるからでしょう。
アカザと戦う前、列車内で咄嗟に戦況把握し炭治郎たちの実力を瞬時に見抜き、的確な指示を飛ばすところでも A の高さが認められます。
「俺は、俺の責務を全うする。ここにいるものは誰も死なせない」
この言葉が、象徴的ですべてを表しているように思います。
煉獄杏寿郎の性格は
映画を通して描かれている煉獄さんは、正義感が強く、明朗快活で豪快(高いCP,NC)
決して揺らぐ事のない信念は、力強さと意志の強さを感じさせます(高いCP)
常に冷静で状況を的確に判断できます(高いA)
誰とでも分け隔てなく話しができ、笑顔で対応しています(高いNC)
人間愛に溢れ、感情の機微を敏感に感じ取り気遣いもできます(高いNP)
映画には出てきませんが、鬼殺隊当主御館様の前では従順にしている様子から AC も高いでしょう。
全般的にエネルギーの高い自我状態のエゴグラムが思い浮かべられます。
場面によって、自我状態が変化しているのがわかります。
押しつけることの無い、肯定的なCPの高さは人に尊敬される愛すべきキャラクターだと言えます。
煉獄杏寿郎をやりとり分析してみると
煉獄さんと炭治郎の会話
煉獄さんと炭治郎の会話の場面は、鬼滅の刃に魅かれる一場面のように思います。
列車内で、炭治郎が煉獄さんに「ヒノカミ神楽」のことを聞いている場面。
炭治郎の質問に対して、最初は傾聴っぽく繰り返すことで聴いています。
ただ、その答え方は相手に寄り添うというよりは、自分が聞いた内容を繰り返す感じで自分を意見を話しているようです。
また、視線は常に前を見ていて、炭治郎を見ていません。
炭治郎も話しをしているというより、会話になっていない居心地の悪さを感じたのではないかと思います。
これは、交差交流になっていて、通常、会話(コミュニケーション)は一時中断します。
この場面では、炭治郎はがんばって話を続けていますが、かみ合わない会話に耐えきれなくなって心の叫びを実際の言葉でも表しています。
ここに鬼滅の刃の笑いの要素を感じます。
鬼滅の刃ではよくこのような会話のやりとりを使って、ユーモアを交えてストーリーを楽しいものにしています。
上弦の鬼 猗窩座(アカザ)との戦いでの会話
鬼の猗窩座との戦いの場面では、お互いが相手に対して自分の信念をぶつけ合っています。
P から発する意地をぶつけ合いながら、決して相手に屈することのないやりとりが続きます。
猗窩座からは、煉獄さんに対し、死ぬことはない、死んでもいいのか!、という無力な人間に対する非言語の投げかけがあります。
戦いの最後では、猗窩座が逃げの姿勢に転じたことで、やりとりが変わりました。
この場面からも「煉獄さんは負けていない」という炭治郎の叫びの理由が伝わってきます。
煉獄さんと鬼の心の動きをOK牧場でみると
上弦の鬼 猗窩座(アカザ)との戦いで心の動きをOK牧場をみてみるとちょっと面白い動きがわかります。
煉獄さんの場合
戦い始めは「相手を倒す」という思いがありますから I+U- です。
途中劣勢になり、もはやこれまでか、と表情からは見えたので I-U+ に変化したように感じました。
ただこれは、ほんの一瞬の気の迷い!
すぐに闘気を漲らせ全力で鬼を倒す心に炎を燃やし I+U- に戻ります。
そして煉獄さんは最後まで I+U- 状態を維持します。
決して絶望することなく I-U- にならない強い精神力を感じました。
猗窩座の場合
猗窩座は鬼なので、戦い始めから常に上から目線で I+U- です。
戦い途中も優位に進めているので I+U- の状態は変わりません。
でも戦いの終盤、止めの一撃を刺したはずが、煉獄さんの強い抵抗にあい、また、夜明けが迫りかなり焦りを生じます。
このとき煉獄さんの抵抗は猗窩座を追いこみ I-U+ にしました。
また日を浴びると鬼は死んでしまうので、死の恐怖により猗窩座はかなり混乱し、必死にその場を逃れようとします。
そのときは I-U- になったと考えられます。
最終的には I-U- 状態で戦いの場を離脱します。
心の状態は、周りの状況に応じて変わります。
そのことは、この戦いの場面でも見て取ることができます。
煉獄さんにみる脚本(スクリプト)
煉獄さんの生まれ育った環境から見えてくる人生脚本(スクリプト)があります。
煉獄家は代々“炎の呼吸”を伝え継いできた家なので、その長男として生まれた煉獄さんは、鬼を倒すために修練に励んできたでしょう。
そして、猗窩座との戦いのなか、回想に出てきた母親から説かれた言葉。
その言葉がその後の生き方に大きく影響したことが伺われます。
「なぜ強く生まれたのか。それは弱き人を助けるため」
「秀でた才能は世のため人のために使わなければならない」
「才能を使って人を傷つけたり私腹を肥やしてはいけない」
そして、その教えの直後、抱きしめられた母の腕の温もりから、大きな愛情を受け取り、愛情についても感じ取ったものがあったのでしょう。
強い責任感と正義感、そして決して揺らぐ事のない信念と人間愛は、煉獄さんの心の支えとなっており、幼いころに形成された脚本であることが読み取れました。
煉獄さんの愛すべきキャラクターがどのように生まれたのか、とても興味深いものです。
以上、鬼滅の刃 無限列車編 をTA理論を使って楽しんでみました。
ストーリーを感じるままに楽しむこともできますが、TAを使って別の視点で観ると違う楽しさがあります。
新たなシリーズ「遊郭編」も始まりました。
新シリーズでもいろいろな特徴を持った人が登場し、いろいろなやりとりがあります。
そんないろいろな場面をTAで観るのと、ちょっと楽しいですね。