私は、2018年に絵本と出会ってから、いろいろな方に絵本の楽しさや面白さを伝えてきました。
いろいろなイベンを企画・開催し、絵本の読み聞かせを行ってきました。
これまで開催したイベントには、音楽関係者とのコラボレーションがあります。
バイオリニストやワールドミュージックユニット、そして今年はオペラ歌手とピアニストとコラボレーションしました。
絵本と音楽
音楽とコラボする場合、絵本の読み聞かせのBGM的に奏でられる場合もあれば、音楽と絵本が一体となって絵本の世界観を表現することもあります。
通常、私は絵本の内容を大げさに演じたり振る舞うことなく、自分の感じたままに読みます。
ただ、絵本の世界観を伝えるときに、音楽が加わると別の感性が花開き、より豊かな感性で自分の感覚を表現できるのだ、そんな体験をしてきました。
今年開催したオペラ歌手とピアノとのコラボレーションは。1部・読み聞かせ、2部・オペラ歌手とピアニストの演奏会となっていました。
テーマは「五感で楽しむ音楽と絵本の会」でした。
私たち大人は、意識的に五感を使うことは少なくなっています。
その五感を絵本の読み聞かせとオペラの歌声を聴くことで使ってみよう、そんなイベントでした。
私自身もとても楽しみでした。
絵本とストローク
1部の読み聞かせでは、「五感で感じる」を意識した絵本を3冊選び3人で読みました。
絵本はやさしく温かい言葉、優しい言葉で書かれ、ハッピーストーリー、サクセスストーリーのものが多いです。
その読み聞かせは、聞き手にポジティブなストロークを届けます。
このポジティブなストロークを届けることが子育てで有効だと言われているゆえんです。
特に、子どもに読み聞かせするときには、親子の時間を共有する、子どもにとっては読み手(基本的にはママ)を占有できる幸せな時間です。
この時間を作れることも絵本の読み聞かせが良い理由でもあります。
絵本の読み聞かせは聴き手のためだけではなく読み手にも良い効果があります。
読んでいる声は読み手自身も耳で聞き自分も体感しています。
また子どもと過ごす時間、子どもの笑顔は最高のストロークです。
絵本の読み聞かせは極上のストローク交換なのです。
音楽とストローク
今回のイベントでは、私は演者であり観客でもありました。
読み聞かせをしているときのバックにピアノ演奏がつきました。
ピアノ演奏はBGM的に読み聞かせを行っている人の世界観を尊重し、読み聞かせを支える、フォローするような演奏でした。
このピアノ演奏はとても素晴らしいものでした。
特に、「間」の取り方や世界観の捉え方が素晴らしく、ストーリーに添っていて、絵本の世界に入り込むのに良い影響を与えていました。
演奏は、絵本が持つポジティブなストロークのエネルギーを、より温かく、すがすがしくしてくれました。読み聞かせの時間はストロークに満たされ幸せな時間となりました。
ちょっと今回のイベントの裏話をすると、ピアノ演奏とのリハーサルは一切なしで、ぶっつけ本番の状態でした。それでもピアニストの方の演奏は絵本と一体化した素晴らしいものでした。
私自身、普段の読み聞かせとは違う印象を、「声」と「音楽」そして「絵」から感じていたように思います。
そして2部のオペラの歌声とピアニストのミニコンサート。これは圧巻でした。
今回のイベントは、お店を貸し切っての30人規模の小さなスペースでの演奏会だったので、歌声が店いっぱいに響きました。しかもステージがなかったので、店の中を歩きながら歌い、目の前を通り過ぎていく。
突き抜けるような歌声に鳥肌が立ち、爆発的な声量は心を圧倒し、体を覆いつくしました。
本当に素晴らしいものでした。
私はこれまでの人生の中で、オペラを生で聞いたことが一度もなかったので、コンサートホールではなく、手が届く距離での歌声はとても衝撃的で心に響きました。
心に響く、まさに感情を揺さぶられる時間だったと思います。
この時、自分の中のC(チャイルド)が活性化しました。
歌声を聞いて鳥肌が立った瞬間、私の中では嬉しさ、楽しさがこみ上げてきました。
おもちゃを与えられた子どものような感じです。
C(チャイルド)が活性しているときの私は、とても嬉しく、楽しい気分でした。
ふとまわりを見渡すと、皆さん真剣な表情の中にも、穏やかな表情が見て取れました。
お店の中が澄み渡る温かさに包まれているようでした。
音楽と絵本。
全く違うようで、表現するものは同じなのかなと思った瞬間でもありました。
絵本には絵と言葉があります。読み聞かせでは言葉を声(音)で届けます。
読み聞かせを受けている人は、ストーリーを聞きながら絵をみて、そこから自分のイメージを拡げていきます。
音楽は声(音)を聴いて、その世界観、イメージを拡げていきます。
普段使っていない五感が働くと、心地よい刺激的なイメージが創造されます。
人は刺激を求めています。
普段体感できない刺激を感じられることは、とても心地よい「癒し」になります。
言葉の届け方
2部では 『風をみたひと』 という一片の詩を、朗読と歌の違う表現で聴き比べを行いました。
それぞれ感じ方が違いました。
私は朗読を行いましたが、読んでいるときは、私のイメージする世界観を私の声で届けました。
この詩は歌にもなっており、詩をオペラ歌手の方が歌いました。
自分で読んだ時は「静かさ」がそこにある感じでした。
それが、音楽に乗ると心に届くような遠い響き。世界観というものが別のイメージで浮かんできました。
同じ言葉であっても、表現する人の考え、意図、背景で世界が異なります。
私のイメージとオペラ歌手の方とはまた違うイメージだったのでしょう。
歌声を聞いていて、スーッと心が落ち着き、A(アダルト)が充実していたように感じました。
C(チャイルド)が活性化し潤い、閉じていた記憶の引出しを開けたときに、幸せで満たされたり、元気の源となったりすることがあるのでしょう。
絵本の効果
私にとっては、絵本を使うことは普段生活していく上で欠かせないストロークを与えてもらう特別な場となっています。
多少嫌なことがあっても、大きなストロークに満たされていると、基本的なポジションもI-U+(I am NOT OK, You are OK)から、I+U+(I am OK, You are OK)に向かって動きます。
ここでのストロークは、ポジティブなストロークなので、プラスのエネルギーで満たされ、心も充実しています。
絵本はプラスのストロークの宝庫です。
よく言われるのですが、私は絵本のことを話していると、楽しそうに話しているそうです。
私自身意識したことはありませんが、絵本のことを話しているときは、C(チャイルド)がとても活性化して活き活きしているのでしょう。
この状態が「Integrating Adult」の状態ではないかと考えています。
まだまだこの理論の説明は難しいのですが、体感的にこの感覚がそうではないかと思っています。もう少し、裏付けが必要ですね。
日常生活を送る中では様々な出来事が起こります。
そんな時、自分を「凪」の状態に導くために、私は絵本を使っています。
絵本を「使う」こと、そして「伝える」ことは、ストローク交換であると思っています。
これからも、絵本を使ってよりよいストローク交換をしていきます。