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「キャリアコンサルティングとTA」シリーズ

 No,2〖キャリア権〗とTAの哲学

第四十回:青沼ますみ

こんにちは! 青沼です。今週は私の当番です。

私は、キャリアコンサルタントという日本の国家資格を持っています。

今回のシリーズでは、キャリアコンサルタントの資格を持っているTA Educator(TAを活用して教育に邁進する人)の青沼がいろいろ勝手に書いていきます。

私は2003年にキャリアカウンセラーの資格をとり、やがてそれは国家資格キャリアコンサルタントという名称になって、今日に至っています。産業界には多くのキャリコン(キャリアコンサルタントの略称)がいて、さまざまな場面で活躍しています。

この資格は取っただけでは使い物にならなくて、皆が各自の現場での体験や学術的な学びを続けることで専門性を磨く必要があるということは、前回お話ししました。

私もNLPやらユング・タイプ論やら……とかじりつつTAに出会うことができ、今もって継続学習中という感じです。

キャリア心理学という分野についても、さまざまな角度から学びを深めていくことが必要です。先日、キャリコンの「師匠」からご紹介があり、ある講座を受講しました。

〖キャリア権〗を学ぶ です。

皆さん、〖キャリア権〗って聞いたことありますか?

恥ずかしながら、私も初学者レベルでの受講でした。

が、これがめちゃめちゃ興味深く、〖キャリア権〗という言葉の持つ意味の奥行に感動したので、今回は少しだけ、〖キャリア権〗とTAの哲学について、私なりにつなげてみたいと思います。

【 まず、〖キャリア権〗とはなんぞや?? 】

〖キャリア権〗とは、日本特有の概念で、

働く人が、その人生(ライフキャリア/広義の意味)に大きな位置を占める職業生活(職業キャリア/狭義の意味)を通じて自己実現をし、幸福を追求する権利

(NPO法人キャリア権推進ネットワークより抜粋)

とあります。探してみると、もっと学術的な難しい言い回しもあるのですが、一番わかり易いなあと感心した表現がこれです。

日本国憲法では、私達日本国民には人間らしく生きていくための権利が保障されています。

これを基本的人権といいます。

そして私達は、沢山の権利を有しています。

生存権(憲法第25条)

教育権(憲法第26条)

労働権(憲法第27条)

さらに、

職業選択の自由権(憲法第22条)などが、よく知られているところですよね。

衣食住。基本的に必要なもので、結構大事です。

社会の中で、私達が人間らしく生きていくためには、まずはこの衣食住を充足させることが必要です。

そしてそのために人間は、基本的に死ぬまで働くことになります。

で、それぞれの人生において、“職業生活”を自分の手でどのように設定し、どう過ごしていくのか……が、人生における大きな課題になります。

私の職業人生の出だしは、なんというか……ふり返ってみると――

私は、短大卒業の夏に母が急死しました。

それで、それまで母が勤めていた会社から「お嬢さんは、来年の春ご卒業ですよね?うちを受けてみませんか?」と声をかけてもらったことがきっかけで、その会社に就職しました。

私の職業人生のスタートは案外お手軽で安直な感じです。

(実は別の会社に内定していたのにも関わらず、心変わりしたのです)

この時、私は種や職業ではなく、会社のブランドで仕事を選んだのだと、ずっと後で分かったぐらい、ノー天気な就職でした。

それでもこの選択は、私の人生を大きく好転させてくれます。

亡くなった母は当時49歳でした。パートタイマーではありましたが、家計の足しにと電機メーカーの工場の事務職としてフルタイムで働いていました。

その会社の一員として、母なりにいろいろこまごまと事務作業を頑張っていたようです。のちに私がその会社の総務人事部門に配属になったこともあり、その当時の母の人事評価を漏れ聞くことになるのですが、評価ランクが高かったことを知った時の驚きと喜びは、今も忘れられません。

母は単なる事務補助のパートさんで、家ではいつも「うちの社員さんは凄い大学を出ているエリートさんなのに給料が安い。可哀想だよ……切ないね~~」とか言ってたっけ(苦笑

家でも働き者ではあったけれども、エリートさんたちばかりがいる大きな会社/工場のなかで、どうやらそのエリートさんたちに囲まれつつ、“母らしく、活き活きと働いていた”のだということが分かってきて、私もここでなんとか頑張らないとな……と焦ったような気持ちになったことを覚えています。

しかし、現実はそんなに活躍する場面などはありません。当時事務職の女性社員は男性社員の事務補助的役割ですし、部課長の秘書的業務を兼務していますので、ほぼ毎日同じことを繰り返す日々です。半年もすると飽きてきて、なにか本気で専門的な資格を取らないとな……なんて考えていました。

反面、この一見同じように見える毎日の業務も、自分の視線の置き具合で案外と変化があることに気づいていきます。その日その日でいろいろな人物や出来事が加わり、面白くなってきます。ちょっとした工夫で面白くない作業も「改善」もできるし、人間関係の中で学べることはとても多いし……とにかくいろいろな経験が増えるにつれ、仕事に対する考え方は変わってきました。

どんな仕事でも、その仕事や人を通じ経験を積み、成長し、自分の人生キャリアを充実させていくことができる。

私の職業人としてのイロハは、この会社生活の中で培われました。労務チームでは、労使交渉のただなか、書類を持って伝書鳩のように走らされました(当時PCなどありませんでしたから 笑)。社員が大きな事件に巻き込まれた時は、上司も部下も一丸となって対応に当たりました。研修チームでは、値段の張る外部のビジネスマナー講座に1週間も出張させてもらったこともありました。一方、若気の至りで仕事を軽んじた時は、ピシャリとこっぴどく叱られました。

職業基盤となるこれらの経験のおかげで、その後10年のアナウンサー業生活、20年の講師業生活が充実したと思っています。私は仕事と人に恵まれたのです。

で、私のスローガンは

『仕事で人生を彩ろう!』

また仕事に良い悪いはないと、本気で思っています。ギャラの差はありますが(笑)

入社当時、ものづくりの現場では、設計した人よりその設計通りに作った職人さんが尊敬されていました。今でもそうだと思いますが、そういう人は飲み会でもかっこよかったな!

行く先々で出会う、お掃除のプロにも敬服します。

この道のプロに会うと、じーっと見てしまいます。その仕事ぶりは徹底していて、その人が清掃した後の洗面所はピッカピカなのです。

デパ地下の総菜売り場で、1回で100グラムぴったり測れる店員さんも素敵です。

マスクで表情は分からないけれども、何気ない感じでピッタリ測る!ちょ~クール

でもそういう人たちが、最初から「腕があった」訳ではないと思うのです。

きっとみんな苦労して腕前を挙げていったのです。

毎日の小さな創意工夫で、どんどん腕前が上がっていく。仕事ってそういうもんじゃん!!

好きじゃない仕事だと思って始めたけれど、いつかそれが天職だ!と思える日がくるでしょう。

私のようにノー天気に就職しても、あぁあの会社で良かったな……と出会いに感謝することができるのです。

だからまず、国民が等しく働く場を得ることができる権利は、とてもとても大事だと思うのです。

しかし、今の世の中はそんなにうまく行っていませんよね。

学歴は就職活動の大きなハードルです。

さらに今の若者は本当に大変です。100も200も応募して、毎日就職フェアに通い詰め、採用試験を受けて、やっと入社できるのです。大学生活の半分は就活……なんてことは良く聞く話です。

憧れの好きな職種に就いたって、苦しいことや嫌なことはわんさか出てきます。

仕事は好きだけで人間が嫌い!と言う場合もあるでしょう。日本が世界に誇るアニメーターのように、過酷な労働条件に耐えきれず離脱する場合は本当に不幸です。

さらに、このコロナ禍で失業率・離職率は上がる一方です。

不景気の波は大きく、人々を飲み込んでいます。

どうやって今の仕事を継続していけばよいのか分からない、と悩む人が大勢います。

仕事を掛け持ちし沢山働いて、子どもに美味しいものを食べさせたいと頑張っているシングルマザー/ファザー、本当にお疲れ様です。でも子育てとの両立は時間と体力の闘い。スキルを磨いて職業を選ぶなんてことは、制度はあっても使えない。

社会の変化や不確実性はますます激化し、ITや業態の変化の波に乗れない人はますます孤立し生活を支えるだけの収入を得られなくなる。

自分に合った、やりがいのある仕事なんて、そうやすやすと見つかるはずはないと諦め人も多いのが現実。

そういう難しい時代にこそ、この〖キャリア権〗という言葉が重みを増して迫ってきます。

〖キャリア権〗とは、日本特有の概念で、働く人が、その人生(ライフキャリア/広義の意味)に大きな位置を占める職業生活(職業キャリア/狭義の意味)を通じて自己実現をし、幸福を追求する権利。

日本の中で、現在キャリア教育やキャリア支援の政策は、さまざまに広く押し進められています。国は個人の職業生活の支援をする責任があるのです。でも権利だけ追及しても無駄で、やはりそこは権利と義務がワンセットになっています。働き続け成果を出すことが求められます。

職業キャリアという物語は、自分が主人公です。

他人ではなく自分が主体となって、職業生活の設計をすることが当然の権利で、よりよい職業生活を送れるように、国や組織が、その人の職業生活設計を支援することも当然だという世の中になると良いな……

そしてキャリアのスタートアップでつまずいても、キャリアの道半ばで息切れしても、また思わぬ困難にぶつかった時でも、自分ひとりで抱え込まず、誰かの手を借りることが当たり前になると良いな…

私はTA教育者でありキャリコンとして、誰かの手になりたいと思っているし、その時こそTAの哲学的信念を共有して、キャリアの困難に立ち向かってもらえるような支援がしたいです。

 

  人は誰でもOKである(存在への平等性)

  人は誰でも考える能力を持ち、自分で決めることができる

  自分で決め、その選択を(自分の力で)変更することができる

この魔法の言葉、結構変換可能な便利ツールなのですよ!

私の職業人生は私自身が創る権利がある → 人はその存在はOKなのだから

私が考え計画し、自分で道を決める権利がある → 考える能力を持ち自分で決める

もしその選択が違っていると分かれば、キャリアチェンジできる

                 →自分で決めた選択を、自分で変更する事ができる

読んでくださってありがとうございます。

皆さんのお仕事は何ですか?

皆さんの職業キャリアには、どんなストーリーが隠されていますか?

得たものは何ですか?

失ったものは何ですか?

お会いする機会があったら、ぜひともお話ししませんか?

あなたの職業キャリア・ヒストリーとあなた自身の〖キャリア権〗について……。

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