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新たな「日常」

第五十四回:降幡浩康

緊急事態宣言が解除されて一か月。

生活にもようやく落ち着きを取り戻してきました。

今年一年、東京は緊急事態宣言下で「移動禁止」状態が続いていた印象です。

実際、東京はほぼ移動禁止の状況でした。

[緊急事態宣言]  2021/1/8(金)~3/21(日)

[まん延防止措置] 2021/4/12(月)~4/24(土)

[緊急事態宣言]  2021/4/25(日)~6/20(日)

[まん延防止措置] 2021/6/21(月)~7/11(日)

[緊急事態宣言]  2021/7/12(月)~9/30(木)

こうして振り返ると、3月22日~4月11日までの約20日間を除くと、ずっと移動制限下であったことがわかります。

この間、私は都内であっても人に会うことはもちろんのこと、都外への外出は自衛の意味も含めて控えていました。

ようやく希望の光が見え始めたのが9月後半でしたね。

東京の感染者数は9月に入るころは約3200人でしたが、

中旬には約1000人、20日過ぎると500人を下回りました。

そして、9月30日には219人、一週間平均でも259人となりました。

ひと月で10分の1になったのです。

あまりの急激な減少に疑心暗鬼なところもありましたが、その後も減少傾向は続き、11月に入って10人を切る日もありました。

今現在は横ばいになりつつありますが、それでも50人を下回る日が続いている今の状況は、日常生活が戻りつつあることを感じます。

このように数字で一定の指標がみえると、これまで控えていたことも再び始めようと思います。

◆帰省

これまでは、自分のため、大切な人のためと思い県をまたぐ移動は控えてきました。

そのため、毎月のように行っていた大阪や、帰省も控えていました。

それもようやく解禁かなぁと。

こんな状況の変化もあり、10月30日に生まれ故郷でイベントにスタッフとして参加しました。

およそ1年ぶりの帰省です。

当日朝、あずさに乗るために新宿駅へ移動。

朝ごはんを売店で買って車両に乗り込みます。

乗車して驚いたのが、満席だったこと!

あずさは全席指定となっており自由席はありません。

予約した一週間前は、まだまだ席に余裕があり、できるだけ人のいない席を選んだのですが、当日いざ乗り込むと満席。

人の移動も本格的になってきたのだなぁと実感しました。

車内では多少話し声は聞こえましたが、静かでしたね。

幸い天気も良く、途中富士山も見え、車窓を移り行く景色を見ていると何とも言えない、ホッとするような安らぎを感じました。

当たり前のように見ていた景色が「制限される」ことで見ることができない。

それを取り戻すことができた時、言い知れぬ安心感に包まれました。

時刻通りにあずさは走り、通いなれた高校のある上諏訪に入ると、帰ってきたんだという感慨が湧いてきます。

そして、上諏訪を出た次は岡谷。

途中、車窓からは諏訪湖がみえます。

諏訪湖、列車からなぜか「見たく」なります。

日差しを浴びてキラキラ光る湖面。

向こう岸まで見えるそこにある「存在」。

自分の中の何かを呼び起こすのでしょう。

心地よく「帰ってきたんだ」という実感が湧いてきます。

岡谷駅に到着しホームに降り立つと、思ったほど寒くなく、あれっと感じます。

故郷を離れ30年以上経つ今の私にとって寒さは堪えます。

今回はちょうどよい気候でした。

見上げると青く透き通った空。

コロナがなければ、ここまで感慨深くなることもなかったかもしれません。

◆ヴァイオリンと絵本

イベントは「ヴァイオリンと絵本」の会でした。

ヴァイオリンの演奏者は、パラリンピック閉会式でも演奏した式町水晶さん。

3歳で脳性麻痺が発覚後、4歳からリハビリのためヴァイオリンを始め、今ではポップヴァイオリニストとして活躍しています。

演奏の後は、私を含む絵本講師6名による絵本読み聞かせ会。

未来に希望を抱き、心の中に新しい風を吹き込むことをテーマに選書。

想いを込めて読み聞かせをしました。

席はほぼ満席で、多くの方にご参加いただきました。

私自身、式町水晶さんの演奏を聴きながら、そして窓の外に見える諏訪湖や山々の緑や赤く色づき始めた木々を見て、心にさわやかな風が吹き込んでくるようでした。

誰かと一緒に過ごす空気感っていいなぁっとしみじみと思いました。

イベント準備はオンラインで進め、会場手配は地元のメンバーにお願いしました。

当日は、バスの遅れやPCトラブルなどもあって、てんやわんやなところもありましたが、大きなトラブルもなく無事終了しました。

参加者、スタッフ全員がOknessの精神でカバーし合い、協力できたことが大きかったと思います。

直接的なサポートだけでなく、その人がいてくれるだけでも心強く感じられます。

スタッフ全員、常にA(アダルト)で接し、想定外のことにも動じることなくNP(養育的親)を活かして対応していました。

I am OK, You are OK

この関係があったからこそ、会は成功したのだと思います。

◆打ち上げ

終わった後は諏訪湖のほとりのレストランで軽く打ち上げ。

おしゃべりしながら会食するのも本当に久しぶりです。

笑顔あふれる中での会食は、お腹だけでなく心も満たされます。

とてもしあわせな時間でした。

また、諏訪湖では夕方から花火を打ち上げていて、レストランの目の前で観賞できました。

生で花火を見るもの久しぶりです。

ましてや10月の終わりにみられるとは!

花火を見ながら、閉じていた扉がまた一つ開いた感じがしました。

人と人のつながりはオンラインでも維持できます。

オンラインがあることで、ずいぶん救われてきたと思います。

でもやっぱり、直接会って話しをすること、同じ時間を過ごし、同じ時間を共有することは、生きていくうえで欠かせない大切なことだと、しみじみと感じることができました。

◆お茶会

東京に戻って、翌週は東京で絵本講師のお茶会がありました。

理事の先生方にリアルでお会いするのも1年以上ぶりです。

同じ絵本講師仲間も、オンラインで会っていてもリアルで会っていない人がたくさんいます。

「はじめまして」ではないけれど「はじめまして」

そんなあいさつが飛び交います。

初めてお会いすると、意外なこともわかります。。

それは、大きさ(身長)です!(笑)

オンラインで話をしていると、会話のイメージから相手の方の大きさ(身長)を勝手にイメージしていていました。

実際にお会いした時の目線が想像と違う方が多くいて、なんだか笑ってしまいました。

話しの様子からかわいらしい人だと思っていたら私より身長が高かったり、同じくらいの目線かなと思っていたら意外と目線が低かったり。

人は勝手な思い込みがあるなぁと、これもリアルで会ったからこその発見でした。

◆オンライン

オンラインの画面の枠を外れた空間で話しをしていると、オンラインではわからないことが見えてきます。

その「見える」ことは、オンラインでは見えないその人の個性であり、その人の新たな一面です。

人は一面だけで判断できません。

共感できることもあれば、それはちょっと、と思うこともあります。

そんなその人の個性が自分にとって心地よい刺激をもたらしてくれます。

場所や時間的制約を外してくれるオンラインはとても便利です。

ただオンラインでの彼(彼女)は、その人の一面です。

もっと人として関わっていきたければ、リアルでお会いすることが必要です。

現実の世界には、立ち居振る舞い、しぐさ、接し方などオンラインでは計り知れないことがあります。

プラスもマイナスもいろいろあって、自分の中でその人が3次元で形作られます。

直接会うことって、本当に大切ですね。

◆新しい「日常」って

このように、11月に入ってリアルでお会いする機会が増えてきました。

これからもっと増えるでしょう。

でも、コロナ前の状態に戻るのかというと、それはわかりません。

では、新しい「日常」はどんな姿なんでしょうね?

政府やメディアから発せられる情報は、コロナの対処法ばかりです。

「Withコロナ」

コロナを恐れなくなり、コロナとともに生活している姿(日常)はどのようなものなのか、その姿を教えてくれる情報が見当たりません。

マスクはしていなくて良いのでしょうか?

会食は人数制限なくできるのでしょうか?

お酒は夜遅くまで飲めるのでしょうか?

日常を取り戻すためには、何が必要なのでしょう。

ワクチンでしょうか?

治療薬でしょうか?

予防策、治療法が確立し、十分に普及してからでしょうか?

「Withコロナ」のあるべき姿がみえれば、希望の光が見えるはずです。

まずはゴール(With コロナ)のあるべき姿を見せて欲しいですね。

そこに新しい「日常」があるはずだから…。

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