【 繁田先生、突然の訃報 】
このブログを読まれている方の中には、
今回の突然の訃報に
まず目を疑い、耳を疑い、
信じれないことが起こったと、
それが事実であると認めるのにまだまだ時間が必要な方が多いかと思います。
私もその一人です。
繁田千恵
1933年11月22日生まれ
享年88歳
今回は、私の中の繁田千恵先生を書くことにしました。
繁田先生、TAの普及に貢献した人
彼女という存在を、日本における「TAの普及」という視点から見ると
語りつくせないほどの貢献をなさった人だと私は思っています。
彼女のTAとの出会いから、今までのあいだに
彼女と出会った人たちが、彼女から
TA を学び、
TA を感じ、
TAで救われ、成長し、
自律という言葉を知り、体感しました。
そして、その中から多くの人たちが
自らTAを伝える人となりました。
どれだけの人が彼女の影響で自分らしく生きることを広めていらっしゃるか
はかり知れません。
【 繁田先生、こんな人でした 】
今、彼女自由な身となり
好きな時に、
好きな所へ行っていることでしょう。
行く先々で、
「そうそうそれでいいのよ」
という優しい言葉を投げかけてくれたり、
「まだそんなことしてるの?」
とちょっと茶目っ気のある言い方で、
その場の緊張をときほぐしてくれたり、
的を射た的確な問いかけで、
私たちのアダルトが目覚めるきっかけを与えてくれたり、
…………
と、期待しています(^^
というより、すでに私達の中に
繁田先生からの言葉はしっかり入っていて
いつでも必要な時に、思い出せるようになっていますよね💛
【 繁田先生、「私はやるわよ!」って人でした 】
そうそう、繁田先生は
ご自身がやりたいことがあれば、
外的状況がどうであれ、
「私はやるわよ!」って人でした。
そんなエピソードはいっぱいあります。
私の一番最近のそんなエピソードは、
10月7日に千葉県で震度5強の大きな地震があった時のことです。
翌日 LINE でのやりとりで、
私:おはようございます。昨夜の地震がありましたが大丈夫でしたか?
繁田先生:ありがとうございます♪
震度4ぐらいで、エレベーターが止まった以外不都合ありません!
朝から太極拳プラス4階までの登り降りで、
今日一日の運動量は十分ですね(猫ちゃんの「やったぜぇ!」のスタンプ)
私:「震度4で、エレベーターが停止」状況でも、階段を使って朝の太極拳に参加!
千恵さんの、周囲の出来事に動じないパワーに圧倒です。
その強さ、好きですよ。
繁田先生:(「ドヤ!」という文字がある猫ちゃんのスタンプ)
人格適応論でいう〇〇タイプ、そのままです。
【 繁田先生、TAに関する膨大な記憶の持ち主 】
① もう一つ彼女の素晴らしいというより「すんごい」ところ、
TAに関連することの記憶!!!!
日本にTAが入ってきたところからの今までの発展の経緯!
誰れと誰が集まり、どんな経緯でTAが広まったとか、
誰それと、何年のどこの国のカンファレンスで、
どんな話をしたとか、何があったとか、
② コロナでこもっているとき、2020年5月から10か月にわたって、
TA101トピックス(TSTAの試験時の課題)について
有資格者を対象に勉強会を開催した時に、オブザーバーとしてご参加いただきました。
メンバーの私達が、あ~でもない、こ~でもないって
過度の詳細化モードに入ってグルグル回りだすと、
「バーンは、~~~(書籍名、論文、その他の情報)に書いてあったわよ)」か、
「誰それが、いついつの講座内で~~~と、言ってたわよ」とか、
繁田先生の記憶の扉が開く場面が随所にありました。
私達は毎回それらに聞き入り、ときおり
迷走状態に陥ってた私達に、例の
「~~~~でいいのよ!」あの大岡裁きを彷彿させる発言で、
一同(は、は~~)とひれ伏すのではなく、
(凄いわぁ~~)(納得!)を連発していました。
オブザーバーというより、やっぱり
TAの学びを進めていく中でのハブ的存在でしたよね。
TAの理論や、日本におけるTAの発達など、
繁田先生の素晴らしいTAに関連する記憶を言語化した書籍が
風間書房さんから数冊出ています。
このブログの最後にリストを挙げておきますので、
お役立てください。
【 繁田先生、「私はやるわよ!」パート2 】
繁田先生と私の出会いは衝撃的なものでした。
2011年11月ごろ、(ちょうど10年前ですね)
いきなり、大阪のウェスティンホテルのバーで会うことになり、
いきなり、2013年に大阪でITAAの国際カンファレンスを一緒にしよう!
といういきなりなお誘いでした。
(いきなりという言葉を3回書かせていただきました!)
私は、2015年以降なら考えるけれど、
2013年は無理、無理、無理と言い続けていましたが、
その頃の私は、繁田千恵先生という方をほぼ存じ上げていなかったので、
「私はやるわよ!」の人とは知らず、
バーで飲みながら、断り続けていたのですよね。
バーから出て、ホテルの外のビルにあった食堂街で
お好み焼きをごちそうになりながらも、
ずーっと、断り続けていたのです。
二人の間が険悪な雰囲気にならなかったのは、
その間、ずーっとTAの話をしていたからかしら?
食事も終わり、ホテルに戻ろうと表に出たとき、
ホテルとビルの間の広場で開催されていた
「クリスマス・フェア」でのできごと。
ここでも、いきなり、
「こっちとこっち、どちらかを選んでちょうだい!」と
高さ18センチほどのマトリョーシカを手渡されたのでした。
ほぼ、強引!
私は心の中の
(マトリョーシカは欲しくありません。)
(なぜ、お揃いで持つのですか?)は言えず、
わけのわからない状況下、
超大先輩の繁田先生を前に断り切れず
パーブル系の方を選ばせていただきました。
このマトリョーシカが、それです(^^
そしたら、いきなり(また出た、いきなり!)
「じゃ、私はこっちにするわ。
これで、二人で1個ずつ持って、
一緒に2013年に大阪でカンファレンスをしましょう」
え、えっ~~~~!
もう笑うより他ない強引ネゴシエーションの結末でした。
「私はやるわよ!」に巻き込まれました瞬間です。
なぜに、「ロシア」だったのだろう……聞いてみたかったです……心残り。
でも今気づいたのですが、
2013大阪国際TAカンファレンスのITAA側の担当者は、ロシアの方でした!
これって、何か決まっていましたか?・・・笑ってしまいます(^^
バーから始まったハード(?)なネゴシエーションを経て、
「日本のTA関係者を繋げ、1つにまとまる機会にする」という
心理的コントラクトを
・繁田千恵:大会委員長
・あべともこ:大会副委員長兼、事務局長の共有から始まり、
2013年8月13日~18日、
【回復・再生・新たなる出発(たびだち)】というタイトルで
大阪国際会議場でのITAA国際大会in Osakaが実現しました。
晴れやかなお顔でスピーチなさる繁田先生
その際はたくさんのボランティアの方々に助けて頂き、
たくさんの方々のご協力を賜りました。・・・・ありがとうございました。
今回のブログを書くに至り、当時の写真を見、
当時のいろいろな出来事を思い出すきっかけになりました。
とても懐かしく、心が温まる時間が持てたことに感謝します。
そして、そこから
繁田先生がずーっと、おっしゃっていらした
・日本に存在する複数のTA団体、
・東京と大阪、そして日本中
・サイコセラピーと教育分野、組織分野、カウンセリング分野
そして、
・人と人、
それぞれがつながり、
一緒に何かを作り上げる(共創)のきっかけとなりました。
はい、
繁田先生の思惑「私はやるわよ!」はスタートし、
少しずつ成長している今だと思っております。
これからも、
繁田先生のご意思・ご遺志を引き継ぎ
TAをはじめ、関係心理学とつながり共に
ひとりでも多くの人達の変化と成長につなげていけるよう
協力し合い進んでいけるよう目指していきます。
そう言えば、ここでも、
繁田先生の
「一回いいだしたら、ひっこまない」
「欲しいものは、絶対手に入れる」
「私はやるわよ!」
という信念は貫かれていました。
大会裏話・・・・
大会準備中も大会中も
繁田先生の「いきなり」は
常道だったことは記憶に残っております(^^
その他にも、いろいろお話は尽きることはないのですが、
ここで、
今私の手元にある海外からの
繁田先生の訃報に寄せられたメール文の一部をご紹介します。
【 繁田先生、外国のTA仲間からの追悼メッセージ 】
Karen Pratt女史
I had just heard from Keiko when your email came in too
I’m so sad to hear the news. Sending all of the TA community much love as you mourn Chie
I have such lovely memories (and pics) of our day outing to Ise Jingu - and how gently independent Chie was when I offered her my arm going up some very steep steps.
We were on the same online exam board as well in September and it was wonderful to hear her insightful questions to the candidate.
May her soul be peaceful
She was also key in negotiating with John Heath during the TA conference in SA in 2008 to get an international conference in Japan - and that resulted in the Osaka conference in 2013
If you write something for Script I would love to add a short piece.
Much love
Karen
お伊勢さんのおかげ横丁で
ともこからのメールが来たとき、私もちょうどKeikoから聞いていました
訃報を聞いてとても悲しいです。TAコミュニティのみんなさんにチエを悼む愛を送ります。
私は伊勢神宮に出かけた日の素敵な思い出(と写真)を持っています。そこで、とても急な階段を上るときに私が腕を差し出したとき、チエがとてもさりげなく自分は大丈夫と言ってくれたことを覚えています。
私たちは今年9月に同じTSTAのオンライン試験に試験官として参加しましたが、彼女の受験者への洞察力に富んだ質問を聞くことができて素晴らしかったです。
彼女の魂が安らかでありますように。
また、2008年のSAでのTA国際カンファレンスの際、ジョン・ヒース(当時ITAA会長)と交渉し、日本での国際会議開催を実現させたのも彼女です。
もしあなたがスクリプトに何か書いてくれたら、ぜひ短い記事を加えたいと思います。
敬具。
カレン・プラット
Trudi Newton女史
Dear Tomoko
So sorry to hear about Chie. I didn't know her well but I remember her from many conferences as a calm, friendly and dignified presence. Please share my condolences with your colleagues, and especially I'm sending love and sympathy to you on the loss of a dear friend.
With love
Trudi
千恵さんのことをお聞きして、とても残念に思います。私は彼女をよく知りませんでしたが、多くの国際カンファレンス会場で、穏やかで親しみやすく、凛とした存在であったことを覚えています。私の哀悼の意をあなたの同僚に伝えてください。特に、大切な友人を失ったあなたには愛と哀悼の意を送ります。
愛を込めて
トゥルディ
Carol Solomon女史 (繁田先生の長年のアメリカのお友達)
I just heard this news a few minutes ago when Robin wrote to me. I am so sad to hear this. Though there was such a great physical distance between us I’ve always felt so close to her in my heart. Who has taken her cats in as part of their family? She got Timothy after seeing my Lily. I know she loved those little creatures so much.
Tomoko, I know what great friends the two of you have been. I’m so sorry for your loss. It must be very hard not to have her there with you.
Thank you for writing to me. I really appreciate it. Just wish I could see her one more time.
Love,
Carol
先ほど、ロビン(ITAA)からの手紙でこのニュースを知りました。とても悲しいことです。私たちの間には地理的に大きな距離がありましたが、私はいつも心の中で彼女を身近に感じていました。彼女の猫を家族の一員として迎え入れる人はいますか? 彼女は私のLilyを見てTimothyを飼ったのです。彼女があの小さな生き物をとても愛していたことは知っています。
この度は本当にお気の毒でした。彼女がそばにいないのはとてもつらいでしょうね。
私に手紙を書いてくださってありがとうございました。本当に感謝しています。ただ、もう一度彼女に会いたいと願っています。
愛を込めて。
キャロル
Jan Grant女史
Yes, I heard yesterday from my trainees.
I feel very sad to hear this news. What a lovely woman she was. She will be a great loss to the TA community.
I have such vivid memories of her in one of my workshops sharing about her experiences as a child at the end of the second world war.
It would be great if you could write something for Script about her.
X Jan
昨日、私の日本のトレイニー達から聞きました。
このニュースを聞いて、とても悲しい気持ちになりました。彼女はとても素敵な女性でした。彼女はTAコミュニティにとって大きな損失となるでしょう。
私のワークショップで、彼女が第二次世界大戦末期の子供の頃の体験を語ってくれたことがとても印象に残っています。
スクリプトに彼女について何か書いていただけると嬉しいです。
Rhae Hooper女史
I’m so sorry to hear this news. I hadn’t heard so thank you very much for letting me know. Chie was certainly well known and respected and her presence will be greatly missed. Please accept my deepest condolences for your loss. An online birthday celebration would have been fun. Perhaps it can now be an online honoring of her with everyone contributing their experiences and memories of Chie.
Warm regards
このニュースを聞いて、とても残念です。 私は聞いていなかったので、知らせてくれて本当にありがとうございます。 Chieは確かによく知られ、尊敬されていたので、彼女の存在が非常に惜しまれます。 謹んで哀悼の意を表する次第です。 予定していたオンラインでの誕生日祝いが行われていたら楽しかったでしょうね。 これから、みんなが千恵さんの経験や思い出を投稿することで、オンラインで千恵さんを称えることができるかもしれません。
敬具
レイ
Suriyaprakash C氏
Please accept my heartfelt condolences on the passing of Chie San. I was shocked to hear of her sudden demise due to an accident.
I have met her and interacted with her during the ITAA conference in Osaka. She was such a gracious, gentle and spirited person, in spite of her advanced age. I'm aware how revered she was as an elder of the Japanese TA community. Her loss will be irreplaceable. I was reminded of our loss here in India, of Saru who passed away last year.
Even though they are no more with us in person, I believe they live through us, whose lives they have touched. I'm sure it is the case for you all in Japan. Chie San will continue to live through the legacy she has left behind in all of you.
My thoughts with you and the whole Japanese community on this tough time. My prayers for her to rest in peace and continue to inspire us all.
Warm regards
この度は、千恵さんのご逝去を心よりお悔やみ申し上げます。事故による突然の訃報に接し、ショックを受けています。
私は大阪で開催されたITAAの会議で彼女に会い、交流したことがあります。ご高齢にもかかわらず、とても優雅で優しく、元気な方でした。日本のTAコミュニティの長老として尊敬されていたことも知っています。彼女の死はかけがえのないものになるでしょう。私はここインドで、昨年亡くなったSaruさんのことを思い出しました。
たとえ彼女たちが直接私たちと一緒にいなくても、彼女たちの人生に触れた私たちを通して生きていると信じています。それは日本の皆さんも同じだと思います。チエサンは、彼女が皆さんの中に残した遺産の中で生き続けます。
この困難な時期に、皆さんと日本の社会全体に心を寄せています。彼女が安らかに眠り、これからも私たちにインスピレーションを与え続けてくれることを祈っています。
敬具。
スリヤ
【 繁田先生、海外でもファンが多い 】
彼女の洗礼された立ち振る舞いとチャーミングさと英語力で
海外でも多くのお知り合いの方々がいらっしゃいます。
それぞれが繁田先生との出会いと思い出をいっぱいお持ちだと思います。
それぞれの方々にとって、今回の訃報に驚きは大きかったと思います。
【 繁田先生へ、最後のメッセージ 】
繁田先生に、最後にお伝えしたいこと、
千恵さんの日本のTAの発展のための功績は計り知れないものです。
それを私達はこれからも大切に育てていく思いでいっぱいです。
TAシュハリズム研究会は、微力ではありますが、
皆さんと一緒に、「TAを拡げる、高める、出会いを創る」活動をすることで、
繁田先生のご遺志を繋げていくと心新たにしています。
それぞれのできることを
できるときに、
できる方法で、
TAを伝え続ける。
私の中の千恵さんは、ご自身でもおっしゃってらしたように
『TAで生きる』を私達に示してくださったように私は感じています。
とても魅力的で聡明で、楽しい女性でした。
これからもずーっと、私の中では
その状態のままの千恵さんとお付き合いしていくつもりです。
千恵さんの「いきなり!」には、よく驚かされていました(^^
それは千恵さんのチャーミングなところでした。
今回の千恵さんの演出は、あまりにもいきなり過ぎでした。
でも、千恵さんはどこかで、「ドヤ顔」をされているようにも思います。
千恵さん、ご冥福をお祈り申し上げます。
先でお待ちだった最愛なる鮎郎さんとはお会いになれましたか?
二人で幸せにマティーニを飲んでらっしゃるのかしら?
あべともこ
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日本における交流分析の発展と実践 風間書房