9月24日、私は八ヶ岳の麓まで行ってきました。
友人と一緒に企画した
「地球といのちの物語 音楽と絵本の読み聞かせ」
このイベントに参加するためです。
このイベントに関して、準備段階から実際のイベント中まで
様々な体験・経験を通し
TAの視点でいろいろな気づきがありました。
今回はイベントを通して感じたことを書いてみます。
企画(「これやりたい!」から始まった)
今回の企画は、私の絵本講師仲間の
「こんなこと考えているの。こんなことできたら素敵でしょう!」
という声掛けから始まりました。
彼女は本当に楽しそうに自分の思いを話します。
Child 全開です!
やりたいことだけを楽しそうに話し、計画性は全くないけれど、
彼女の話を聞いていると、イベントをやっている光景が浮かんできます。
そこに自分が参加して、一緒に楽しんでいる姿まで浮かんできます (^^)
そうすると、「自分も一緒にやってみたい」と思えてきます。
彼女の出す Child のエネルギーは、周りに夢を見せてくれます。
きっとこの時、私の中のChild もめいっぱい刺激され、「わくわく」しています。
と同時に、冷静に日程と自分のスケジュールを突き合わせる私もいます。
しっかり Adult が働いています。
スケジュールはOK!
場所は? 今までいったことない。
移動は? 車? あずさ?
宿泊は?
前後の予定は?
あれこれ悩みましたが、決め手は
「楽しそう!」「一緒にやりたい」
その気持ちでした。
私の中では「わくわく」が溢れていました。
不参加になるような障害はなく、調整程度。
参加すること決定です。
Childが刺激されると、行動したくなるんですよね。
イベント準備
何かイベントを行うとき、当然準備には時間がかかります。
彼女の企画は、「こんなことやりたい」だけです(笑)
大枠があるだけといった感じです。
実は彼女、とっても不思議な魅力があります。
いつもすてきな企画を出してくれるけれど、
事務的なところは……なんです。
でも、それでいいと思える人間性があります。
結果、彼女の周りには一緒にやりたい人たちが集います。
今回も一緒にやろうと手を挙げた人が私を含め6人集まりました。
彼女には、常に「I am OK, You are OK」です。
自分がやりたいことを助けて欲しい、その思いを人に伝えているときも
決して 「I am Not OK」にはなりません。
そして自分の思いを強く出す事もなく「You are Not OK」にもなりません。
そうすると、事務的に進める段取りは周りがしっかり進めます。
今回のメンバーも、それぞれも持ち味(得意なこと)を活かし、
しっかり準備をしていきます。
進捗がはかどらないときは、みんなが意見を出しあって前に進もうとします。
私の反応が遅くなることもありましたが、しっかりフォローしてもらいました。
準備段階のやりとりでは、ストローク交換が常に行われていました。
うまくいかなくても、原因や失敗をあれこれいうことなく、
「じゃあ、どうしよう」とすぐに切り替えます。
個々人のちからをうまく発揮するためには、ストロークが必要ということがよくわかります。
そして、メンバーがみんな「I am OK, You are OK」であったことも大切でした。
わからないことはうやむやにせず、言いたいことはしっかり言うけれど、我を通すわけではない。
イベント成功のためにみんながひとつになって進んでいる。
そんなプロセスを体感しながら当日を迎えます。
移動
移動(足)もいろいろ考えました。
予定が決まってから、どのように動こうかと。
決めていたのは、現地近くまでは『あずさ』でいくということでした。
車で東京から行くのは、あまり自信もなく、家でも車を使う可能性があったので、
まずは最寄り駅小淵沢まではあずさで行こうと思いました。
次に現地の移動です。
いろいろ回るのに徒歩も考えましたが、
現実的に厳しそうなので、レンタカーを借りることに。
いざレンタルしようとすると、最寄りのレンタカーショップでは空きがないことが判明。
少し先、茅野まで行けばあると思いきや、そこもいっぱい。
最後の望みをもって、私の地元岡谷で調べるとレンタルできることが判明!
すかさず予約を入れる。
ただ、岡谷から会場までの車移動を考えたとき、一抹の不安が……。
Child が不安に襲われ、へこみます。
そこで、運転時間を調べると1時間ちょっと。
1時間なら何とかなる!
途中までは運転したこともあったので、実質20分ほどが知らない道の運転になる。
とすれば、それほど疲れることもないだろうとの結論に。
自分の中に頭をもたげていた「自分は運転がうまくない」という思い込みを打消し、
「私は安全運転ができる」に置き換え完了。
わくわくする、運転を楽しもうというところまでにはなりませんでしたが、比較的長い距離を運転することにコミットできた自分は、ちょっと褒めてあげたいと思います。
当日の移動は特に問題ありませんでした。
ただ、予約したあずさが満席だったのにはちょっと驚きました。
まだ、コロナが落ち着いてきたわけではありませんが、日常生活の中での移動のハードルが低くなっているというのが実感です。
満席といっても、あずさは全席指定なので、昔のように立っている人で動きが取れないようなことはなく、その点は不快(苦痛)に思うことはありませんでした。
会場とその周辺
今回会場となったのは「わとわの杜」
東京から移住された方が今年3月にオープンした宿泊施設を兼ねそろえたイベントができるドーム型の建物です。
三角形を組み合わせた建物は、ちょっと神秘的な、何とも言えない、覆いつくされているせいか、小宇宙の中にいる感じがします。
音がすごく響くので、どこかで誰かが話している声がすぐ近くで聞こえ、声がする方向を向いても誰もいないということが何回かありました。
宿泊も合宿をするようで、ちょっとワクワクが募ります。
わとわの杜は幹線道路から畦道のような道を一本入ったところにあり、到着するまでは本当にこんなところにあるのか? と思うほどでした。
ただ、そんな場所だからこそ、このような施設が生まれたのだなぁとも納得しました。
わとわの杜から車で5分、歩いて15分ほどのところに身曽岐神社があります。
荘厳な雰囲気の神社で、とても清々しく、そこに身を置くだけでも清められるような威厳を感じます。
この神社には能舞台(能楽殿)があり、これが素晴らしく、美しい舞台です。
舞台は池の上にあり、池をはさんで対面するかたちで芝生があり、そこが観客席になります。
舞台の全景はとても厳かで、心身ともに引き締まり、実際の演目を見てみたいと感じました。
これほどの舞台を見た記憶はなく、その場に立つことで、心が洗われる思いでした。
身曽岐神社から車で5分ほどのところに大滝神社があります。
ここには、大滝湧水と呼ばれる「日本名水百選」に選ばれている湧水があります。
水量は日量22000立方メートルもあり、一年を通して水温は常に12℃。
大量の湧水が流れ落ちているさまは、流れ落ちる音とともにとても心を清らかにしてくれます。
湧水は飲むことができるので、身体の内からも清めることができました。
社前の水田にはわさび田があり、不思議な感覚を覚えます。
清らかさ、神聖さ、きっと一日何も考えずにその場にいられる、そんな心のよりどころとなる場所に思えます。
リハーサル
このような環境に恵まれた場所でのイベント。
心もわくわくしています。
そのわくわくもイベントをご一緒するKURIさんとのリハーサルで大きく変わります。
KURIさんは、八ヶ岳南麓にある手作りの家スタジオを拠点に国内外に音の風を届ける二人組です。
その音楽性は、アイルランド、アジア、東欧、沖縄など世界中の音楽のエッセンスを取り入れており、民族楽器を自由に操り日本人の感性で作られたワールドミュージックです。
私はその世界観に魅力を感じています。
そんな彼らと、絵本の読み聞かせをしながらの演奏を合わせたとき、KURIさんからいろいろな指摘を受けました。
それは、これまで私たちが大切にしてきた「読み方」とはちょっと違うものでした。
そこには、このイベントでの方向性の違いが浮かび上がってきました。
彼らと会って話をするのは今回が初めて。
これまでの経験から、第一部はKURIさんの音楽、第2部が絵本の読み聞かせ、と2つ別の立て付けで行われるイメージを持っていました。
ところが、KURIさんは絵本の読み聞かせは音楽とのコラボレーションとしてとらえており、絵本の読み聞かせを静かに支える音楽ではなく、音楽と絵本の世界観が一体になった表現を考えていました。
彼らは音楽のプロだけれど、読み聞かせは私たちのほうがプロとしてやっている。
そこで意見されるのはいかがなものか、と思ってしまうようなところですが、不思議とその意見に耳を傾けました。
ともすれば私たちの読み方を否定されるようにも思えるところ、その話にガツンと頭を叩かれた気がしました。
ただ、それは私に向かう衝撃ではなく、目の前の壁を壊す、扉を開けるものでした。
本当に目の前が明るくなる感じです。
これはおもしろい!
私は、ふつふつとを湧いてくるわくわく感に満たされました。
自分が知らない「新しい扉」が開かれました。
ここでもライフポジションが「I am OK, You are OK」であったことがわかります。
そして、常にストローク交換をしていました。
相手に対する尊敬の念を忘れず、もっと高みを目指す、あたらしい異世界を開くというその思いが私に響いたからこそ、このような気づきを得られたのでしょう。
リハーサルでは、私の思いを声に乗せ読みました。
リハーサル後、聴いていた仲間から
「ふりさん本当に楽しそうに読んでいたね」
「これまで見たことがない、想像できない読み方だったね」
と驚かれました。
私自身楽しかったのは間違いありませんが、そこまで楽しそうにしていたつもりはなく、逆に楽しさを冷静に伝えるように表現するには……などと考えて読んでいたので、感想をもらったときにちょっと驚きました。
同時に、「素直に気持ちを表現すればいいんだ」ということも気づきました。
いろいろ考えるより、気持ちをそのまま声に乗せるだけで、自分の思いは伝えられる。
そう感じられました。
何かを伝えようと思うと、言葉を駆使し表情を考えたりしがちですが、
そんなことは考える必要がなく、自分の思いを言葉に乗せるだけで、伝えられるものがあるという経験は、とても貴重な発見でした。
その気持ちをもって本番に臨みます。
本番
本番当日、台風の影響で雨模様の中の開催と思っていましたが、ふたを開けてみれば快晴。
青空がのぞき、暑い日になりました。
そんな天気に恵まれての開催。
天気の不安もなくなり、多くのお客様にご来場いただきました。
赤ちゃん連れのご夫婦、小学生くらいの親子連れ、熟年年のご夫婦、
いろいろな世代の方たちが集まってくださいました。
わとわの杜(わとわドーム)に響くKURIさんの音楽は、とても素晴らしいものでした。
心がウキウキ、ワクワクするそんな音楽が心身を満たしてくれます。
そのエネルギーをもらって、私たちの読み聞かせが始まります。
本番では、私はさらにエネルギーを解放することができました。
読んだ絵本は『アフリカの音』
KURIさんの音楽のイメージも会う絵本です。
自分が絵本から感じた思いを思い切り声に乗せます。
音楽と調和しながら絵本を読み、
絵本の余白を音楽が埋める。
読んでいてこんなに気持ちの良い思いをしたことはありません。
絵本の読み聞かせであって、絵本の読み聞かせではない。
でも絵本で伝えたいことはしっかり表現し伝えることができる。
イベント後、皆さんからとても良かったと感想をいただきました。
ひとつのやり方を覚えたからと言って、それに縛られることなく、新しい方法もチャレンジできる。そしてそれは方法の発見であり、自分の力になる。
そんな気づきがもらえました。
終わってみて
終わって振り返ってみると、今回のイベントはラケットをつかむことはなく、ゲームを行うこともありませんでした。
言葉の捉え方、気持ちの持ちようによっては危ないケースもあったように思います。
ただ、自分の状態、そして周りのメンバーの状態が常に「I am OK, You are OK」の状態であったことが大きかったように思います。
そして、つねにポジティブなストローク交換が行われていました。
イベントをすれば予期せぬ出来事もいろいろ発生します。
そんな時でも、冷静さを失わず、たとえ失っていても、誰かがそれをフォローする。
そんな関係性がこのイベントのメンバーにはありました。
会社で仕事をしていると、とかく責任を押し付けたり、自分は自分、他は他というような関係性で、チームとしてはもろく崩れやすいことが多かったように思います。
誰かと一緒に何かを達成しようとするならば、まずは「I am OK, You are OK」でいること。
そしてストローク交換をすることがとても大切だということが経験できました。
また、こんなイベントをやりたいなぁと緩く、でもしっかり思っています。