・なんでそんなこと言うの?
・信じられない行動
・意味がわからない
家族や親しい人も含めて、日々多くの人と接していると、
上に挙げたような言葉を思わず発してしまう! かどうかは別として、
頭の中を駆け巡る時があります。
TA的にいうと、ラケット感情をつかんでしまうときですねえ。
そこで、その気になる「個人」をTA 的に理解することで、
今遭遇している居心地悪い人間関係をどう分析し
正常な人間関係に戻すきっかけを作れるかを、考えてみました。
私なりのSDGs!
「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。
地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」
に役立てたいと思っています。
つまり相手の一言、ちょっとした行動で、
・もう訳分からんこと言ってきて、最低~~~
・また頑固になってるぅ~~~、付き合っていけない
・もう放っておこう
となり、
そこから人間関係が崩れ、
自分がひとりぼっちになることも避けたいし、
誰かがひとりぼっちになることも避けたいのです。
誰一人取り残さない……のけ者にしない……差別しない。
ちゃんとそれぞれに訳(ストーリー)があり、属するところがあり
そこでの親密を深め、自分らしく生きる。
自分も相手も大切に出来る。
そんな場所を作るきっかけになるようにねがって、
今日のブログのテーマとなりました。
【 個人のリソース 】
関与するTA理論と概念
・自我状態構造モデル
・準拠枠
・脚本形成
・倫理観
・スーパービジョン、他
このダイヤグラムは2015年あたりから
私の講座で機会あるごとにお話をしていりる内容です。
2018年に、ここに挙げたダイヤグラムの基本スタイルが出来上がりました。
私の講座を受けて下さっている人たちにとっては
おなじみのダイヤグラムかもしれません。
ちょっとだけ進化していると思います。
今後も進化するでしょう。
まずはこのダイヤグラムを説明するところからスタートします。
私という第一人称で説明します。
1) 「誕生」ここは文字通り私が生まれたその瞬間です
そこから私のストーリーは始まります。
四角の中にある「家庭環境」というところがスタートする瞬間でもあります。
私が生まれた時は難産で、母の生命が脅かされていた、
と私は祖母や叔母たちから聞かされています。
そこにいた父を含む大人達が「子どもはまた生まれる。まずは母親を助けよう」と
判断したということを聞いています。
母が意識を戻した時、その場にいたみんなは
生まれたての私の存在に意識が向いたと言っていました。
叔母たちの話だとタオルに巻かれた私はご機嫌よくいたそうです。
そのあたりの詳細がどうだったのか気にはなるのですが、
今の今まで叔母達にさらに詳しいことを聞くこともなく、
私の解釈は、生命力をもって生まれた子なんや!
と自分のことを見ています。
これが私の誕生時のストーリーとして、存在します。
2) 「家庭環境」
生まれた時の出来事を含み、
家族の中で長男だったのか、長女だったのか、
真ん中で生まれたのか、末っ子だったのかというような出生順位や、
当時の家族構成、生まれ育った土地、地域、両親の仕事などなど、
私にまつわる出来事で私の記憶に残る全てが
この青色の箱の中に私のリソースとして存在しています。
3) 「身体的健康」には、自分自身の病歴や、家族の病気も含まれます。
自分がどんなスポーツをしてきたのか、してこなかったのか。
スポーツをする中でのさまざまな経験も含みます。
例えば、私の場合中学高校で、バレーボールをしていました。
それは明らかに東京オリンピックの影響を受けています(笑)
当時、練習中は水を飲むなとか、
うさぎ跳びでグランドの端から端まで飛ぶ! なんてこともざらでした。
野球部では、今では考えられない穴バットも普通にあった時代です。
身体的健康やスポーツにまつわる色々な経験が
私のリソースの一部として存在します。
その中には楽しかったこともあれば
つらかったことも含まれています。
4) 「文化的背景」
私の人生の中での流行ったことだったり、
宗教関連的なことであったりも含まれています。
私の幼い頃の家は自営業をしていたので、
毎月1日は決まった神社にお参りに行く習慣がありました。
ついていった私は、そこでの大人達との外食の光景が鮮明に残っており、
幼いながらにも楽しかったという思い出があります。
ポジティブな思い出です。
私の記憶が正しければ年に1回、
大勢の人達が集まり、家で祭事をしていたような記憶があります。
5) 「社会的背景」
私の記憶に残る幼児期から今に至るまでの
社会全般の経済状況というのも私のリソースの中には存在します。
高度成長期、東京オリンピック、バブル、他、
私にとって、直接及ばない経済の変化や出来事なども、
テレビや新聞、周囲から聞かされた情報などがごちゃまぜで私の中に入っています。
それらは、当時の理解力もさることながら、
記憶の正確性といった点からも偏った内容になっていると思われます。
社会へのかかわりとしての、自分の仕事というところでは、
仕事で関わった人達、仕事内容、そこで得た経験やスキル、知識、
人間関係、業界と、さまざまな経験の記憶が断片的であったり
偏った理解のまま私の中に存在します。
6)「経済的背景」
実家が自営業出会ったことで、私が幼い頃は経済的には結構自由だったように思います。
その後社会の経済の動きに巻き込まれ家業が廃業に追い込まれたことも
その時の大人達の動きや自分の身の回りに起こることが、
私のリソースとして残っています。
7)「今の自分」
私が学校だけではなく、自主的に学んだ事柄も含め、
いろいろなチャンネルから見聞きし体験し、
学んできたこと全て。
そして、つい先程に見聞きしたこと、出来事も
最新の情報として私のリソース中に入っています。
それらは、自我状態構造モデルという視点でも説明できますし、
私の準拠枠という視点から見てみても、
そこにあるすべての項目が私の価値判断の基準として
存在しているのがお分かりいただけると思います。
準拠枠の視点で見ると、そこには当然のように
再定義が行われ、ディスカウントや誇張が発生し、
今ここでの人間関係に影響を与えます。
幼い頃の経験や、周囲からの関わりで
私たちは人生脚本を形成していきます。
幼い頃、目の前の出来事を自分なりに解釈したストーリーも含めて
私自身のリソースなのです。
TAの概念を通してみると、この個人のリソースには、
自分自身では認識が難しいリソースもあり、
自分の目の前の出来事に大きく影響する要素として存在します。
このポイントは、常に意識する必要があると思っています。
個人のリソース全ての要素・要因が、
今この瞬間の私の判断基準・行動基準となるわけです。
最新の出来事や関心ごとにも大きく影響されます。
例えば、週末にTA の講座に参加し
ストロークという概念を学んだとしましょう。
翌日、学校や会社に行った時あるいは家庭の中で、
「私にストロークをくれる人はいないんだ」
「欲しいストロークは欲しいって言ってもいいんだ。
今日は誰を誘ってご飯を一緒に食べようかな?」
「私の周りにはたくさんのポジティブなストロークがあった!」
などなど、つい言ってしまっていたり、
口にはしなくても、頭の中で思い、
先週までとは異なる自分の考え方や行動をとっているかもしれません。
最新の学びや経験が自分自身のリソースを
少し違う角度で見るということも始まるかもしれません。
新しい学びや経験から自身の判断基準や行動基準に
変化が生まれるということですね。
(コルブの経験学習サイクル)
話を元に戻します。
私たち一人一人は先ほどお伝えしたように
誕生から今この瞬間に至る間の全ての学びや経験がリソースとなり、
次の瞬間の判断や行動に影響を与えることになります。
その場に十人いれば、
当然十通りの判断や行動基準が出てきてもおかしくはありません。
実際は、職場やグループの中で、他の人達と同じ経験をしていたり、
同じ情報を共有していることがあるので、
自分自身のリソースの一部が、
他の人達のリソースの一部と重なり合うこともあります。
重なり合う・共有する部分が多いほど、
互いに安心・安全を感じたり、仲間意識を持つチャンスは増えます。
久々に会った同窓生とは、3年間、6年間という長期にわたって
同じ体験をしている人達なので、
互いの個人のリソースの共有部分が多いので、
視覚的には「この人誰?」って思った同級生とも
リソースの共有部分を見つけると、
あの頃に戻ることができます!
職場やグループ、家族など何人かの集まったところでは、
共通する判断基準や行動基準が生まれているのが現実だと思います。
同時に、まったく相容れないリソースの部分もあります。
それらは、ポジティブにも、ネガティブにもなり得ます。
集団では、それぞれの異なるリソースを持つ人たちが集まります。
基本バラバラな考えや行動基準を持った人たちが集まるということです。
そこで、一つの方向性を持った集団にしようとする際には、
その組織やグループ内でのルールを作成したり、バウンダリー(境界線)を
構成する外的機構要素や、倫理観等を持ち、
個々のリソースのアウトプットの方向をしっかりと定める必要があります。
(コントラクト)
この集団では、~~~を基準した考えや行動をとる。
あるいは、
―――――を目指すための考えや行動をとる。
といった枠組みです。
ここを軽視すると、
ある一人の人の判断基準や行動基準で職場やグループ、
家庭内や社会の崩壊を招くことがあります。
最近、ある団体の長が女性を差別する発言をされ、注目を浴びた出来事がありました。
その方のリソースを想像してみれば、家庭、社会、文化といったあらゆる場面で、
そういう考え方が当たり前のように進んでいた現実があったというのは推測できます。
でも社会は生き物で常に新しい考え方や行動基準が生まれてきています。
そしてそれらに沿うことが求められています。
それら新しい動きあるいは求められているものを知らずしてあるいは、
意識をせずに自分だけの古くなった個人のリソースで
判断や行動を起こすと、やはりうまくいかないというのはお分かりいただけると思います。
自分のリソースには、自分の脚本も含め
自分の偏った見方や考え方が多く潜んでいます。
【 必要なもの 】
そこで必要なのが倫理観です。
個人でそれらルールやバウンダリーそして倫理等を意識することは、
自分や周囲を守るためにとても大切なことなのです。
しかし、無意識と言う形で自分の古い・役に立たないリソースで
偏ってしまった判断や行動をしてしまうことが起こります。
それをコンフロント(直面化)し、内省し、修正することが必要になります。
組織や企業であれば、理念やコンプライアンス、それぞれの業界や分野の
リテラシーの視点で正常化を図っているのだと思います。
最も身近なところでは、
周囲の人達が、声を掛け合うということから始まります。
組織としての存続を守るためには倫理観や、
外的機構要素(TA組織論)を明確にし、それらを共有することが大切です。
個人的には、TAスーパービジョンを定期的に受けて、
自分自身の役に立たない個人のリソースが割り込むことで、
目の前の人達(クライアントや受講者、他)への支援や関わりが
ゲームにならないように、こじれないようにすることがとても重要です。
個人のリソースを文字化してみました。
ブラッシュアップもできればと思います。
私の講座でお話しできる機会を楽しみにしています。
あべともこ