コロナが流行し始めた2020年初頭。
この流行は2年続くという意見がありました。
そして今、2022年。
年が明けるとともに日本では第6波が押し寄せ、
感染者数がこれまでとは比較にならないくらい爆発的に増えました。
それも今回は、東京、大阪などの大都市圏だけではなく、
全国規模での広がりになっています。
ただ、私たちの生活はこの感染が始まったころに比べると、
圧迫感は和らいだ感じがします。
感染者数だけでみると、これまで以上に、はるかに多くなっていますが、
非常事態宣言は出されていません。
ワクチン接種が進んでいることも、安心感につながっています。
私自身も3回目接種が終わり、2週間経過したので、
医学的な予防措置としてできることはすべて行った状態です。
とはいっても、変異株発生のニュースを聞くにつけ、
何とも言えないモヤモヤした不安は募ります。
【 コロナ禍の不安とは? 】
この私の不安の原因はどこから来るのでしょう?
きっと、それは先の見えない「新しい生活習慣」に対するモヤモヤです。
「3密を避ける」
「ソーシャルディスタンスを保つ」
「こまめな手洗い」
「マスク着用」
「室内換気」
これらを守る生活はいつまで続けなければならないのでしょう?
そもそも「新しい生活習慣」は何のために行うのでしょう。
「新しい生活習慣」は新常識として、いつまで守るルールなのでしょうか?
未知のウィルスとの戦いです。
徐々に知見が増えたとはいえ、
まだまだわからないことも多いようです。
ひとつひとつ対応していかないといけないことは分かります。
そうだとしても、政府、公的機関の情報は、
目的と基準が不明確なように感じます。
この戦いの「ゴール」が見えないことで、
私の中では消化不良を起こしてしまっています。
それを補ってわかりやすく伝えてくれるはずのメディアも
現状を伝える情報や批判が多く、欲しい情報を与えてくれません。
情報があふれる現代社会だからこそ、
生きるために必要な情報は
一生懸命探さなくても、
誰でも手に入るようにしてほしいと思いますが、
今日の趣旨からはずれるので、また別の機会に。
【 コロナがもたらしたもの 】
先ほども書きましたが、
わたしは、「ゴール」を示してほしい人です。
残念ながら、今コロナとの戦いのゴールが見えません。
ゴールが見えないのに走り続けるのはつらいものです。
ゴールがわかっていれば、
何をどうすればよいのか対策を考えられます。
「Withコロナ」の時代となって、生活習慣が大きく変わりました。
グローバルな時代となり、
世界的なネットワークの中で生活していくことに
何の疑いも持たずにいたのに、
コロナウィルスは、あっけなくその当たり前の世界を、
ネットワークを断ち切ってしまいました。
この急激な変化は、私たちに様々な影響を与えました。
経済活動のように目に見える変化もありますし、
もっと内面的な、私たちの心理的な面でも影響がありました。
「人との接触を断つ」という、
これまで私たちが生活するうえで考えられなかった状況が発生し、
否応なしに生活習慣が一変しました。
特に、目に見えない心・精神面では対応しきれていないように思います。
【 「3つの飢え」と「6つの飢餓」 】
TA心理学には「時間の構造化」という理論があります。
TA心理学の創始者エリック・バーン博士は、
人間の社会の中での関係を「社会的接触」と表現し、
「3つの飢え」という視点で説明しています。
・刺激の飢え・・・もっとも強力な刺激は身体的接触
・承認の飢え・・・自分の存在を確認したい。認めてもらいたい!
・構造の飢え・・・今日はどうやって過ごそう。なんとなく時間がすぎるのは嫌!
3つの飢えは、さらに「6つの飢餓」に分類されます。
私たちは、生まれてから死ぬまでの間に、
何らかの形で人と関わり、
「6つの飢餓」と呼ばれている飢餓を満足させるために
生きていると言われています。
①感覚飢餓・・・5感(視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚)
②認知飢餓・・・周囲に存在を認識してもらう
③接触飢餓・・・何かに触れる、触れられる
④性的飢餓・・・生殖本能
⑤構造飢餓・・・組織や時間の組み立て
⑥出来事飢餓・・・ハプニング
私たちは、
親の愛に育まれながら成長し、
素敵な人と出会い、結婚し、
家族を作り、
子育てをしながらいろいろな出来事を経験します。
普段生活してる中では特に意識はしていませんが、
常に「6つの飢餓」を満足させているのです。
【 時間の構造化 】
この「6つの飢餓」を満たすために、
私たちが人と関わる際の行動には、
6つの異なる方法があり、
それを「時間の構造化」と呼んでいます。
『 時間の構造化 』
①引きこもり
②儀式
③暇つぶし
④活動
⑤ゲーム
⑥親密さ
ある会議の場面を考えてきましょう。
私は、会議に出席します。
会議が始まり、司会者は、今日の会議の趣旨を説明します【儀式】。
議論が進みます。
最初の議題は私には直接関係ありません。
私は、気になっている別の案件のことを考えます【引きこもり】。
議論が進み、私が関係する議題になり積極的に発言します【活動】。
少し余談を挟み、場を和ませます【暇つぶし】。
議論が再開し、白熱すると、相手が揚げ足をとって攻撃をしかけてきて、
会議の場が険悪な嫌な感じになってきます【ゲーム】。
そこで、ファシリテータが両者の言い分をうまく取り込み、
意見の食い違いを冷静に判断し、尊重し、
お互いが納得できる、最適な結論を導きました【親密】。
いかがでしょう。
このように社会生活している中で、
私たちは時間をいくつかの方法に分けて過ごしているのが
お判りいただけたでしょうか。
これは、日常生活にも当てはめることができます。
朝起きて、
「おはよう」とあいさつをする【儀式】
朝食までTVを観る【暇つぶし】
ひとり電車で音楽を聴きながら通勤し【引きこもり】
出勤後仕事をする【活動】
帰宅後、夕食のおかずのことで妻とケンカ【ゲーム】
私が折れてあやまって、週末の旅行のことを一緒に計画する【親密】
このように、私たちは無意識に普段の生活における時間を
きちんと構造化しているのです。
人は、本能的に時間をうまく使い構成することを欲しています。
「計画を立てる」「スケジュールを入れる」「時間を有効に使う」ということは
まさに、時間の構造化を行っています。
そのために、さまざまな時間活用術を考え、
自分に最適な、有効な方法を探し求めています。
「時間の構造化」のバランスが崩れてしまうと、
時間がうまく使えないことにイライラしたり、
自己嫌悪に陥ったりします。
特に、生活に変化があるときに起こります。
進学し、ひとり暮らしを始める
卒業し就職する
転職し新しい職場に移る
定年退職し、セカンドライフを始める
そして
コロナでテレワークになる
ステイホームで外出しない
このような変化に遭遇した時、
自分の生活時間を見直す必要があります。
この見直しが終わり、新しい生活に慣れるまでは
気持ちが落ち着かない状況が続き、イライラしたり、不安になったりするのです。
子どもがゲームばかりをして【暇つぶし】、勉強【活動】をしない
と怒ってしまうのは、
自分の思っている時間の使い方の基準に合わないからかもしれません。
Withコロナで、テレワークが始まった時、
時間の使い方が急激にそして強制的に変わりました。
しかも、いろいろな制限が加わり、
人にとって必要な「刺激の飢え」を満たすことができない状況となり、
かなりストレスフルな状況になっています。
ストレスフルな状況で「時間の構造化」をしようとする場合、
バランスをとることが大切です。
コロナ以前から、
相手を尊重し相手のことを考えながら生活してきた人にとっては
お互いの活動場所と時間がかわっても、
お互いの考えを話し合って、決めていくことができます。
そのため、時間のバランスが大きく崩れることはほとんどないでしょう。
とても幸せな関係です。
でも会話が少なくお互いを理解できていなかった場合はどうでしょう。
ただでさえ、ストレスがたまる環境です。
「時間の構造化」を再構成しようとするとき、
自分の主張を通そうとしてしまいます。
とくに「活動」場所と時間の変化に対して、
自己主張を通そうとしがちで、
理解されないとイライラが募ります。
解決策を見出すことができず、
さらにストレスをためてしまうことになります。
それまで、家にいたお母さんは、
家での「引きこもり」「暇つぶし」「活動」を、
自分ひとりの時間として過ごしてきました。
ステイホームがはじまり、
子どもたちが家にいるようになると、
子どもたちと一緒に過ごす時間が増え、
「引きこもり」「暇つぶし」の時間が少なくなり、
自分の時間使い方のバランスが崩れてしまいました。
「時間の構造化」のバランスが崩れたままま過ごすと、
ストレスがたまります。
その結果、イライラが募り、
子どもたちに強くあたってしまうことにつながります。
ひとは「時間の構造化」をしたいと思っています。
これは、睡眠欲や食欲同様に本能的な欲求です。
欲求が満たされなければ、心身のバランスが崩れ
身体的もしくは精神的にも健康を害することになります。
心身の健康を保つためにも、
なぜイライラするのか、
なぜ怒ってしまうのか、
この理由になる基本的な考え方を知っておくことが大切です。
Withコロナの「新しい生活習慣」(ゴール)となるのかわかりませんが、
今ここで、自分の行動を見つめ直し「時間の構造化」を考えてみる良い機会です。
お勧めは円グラフに、時間の構造化の6つの要素を書くことです。
円グラフに書いてみると、視覚的にわかりやすくなるので試してみてください。
例として先ほどの会議の様子をグラフにしてみました。
「時間の構造化」には、正解があるわけではありません。
暇つぶしの時間が多くても良いのです。
時間をどのように使うのか、
自分で納得する時間の使い方ができているのか、
それが大切です。
Withコロナとなって、これから訪れる「新しい生活習慣」で過ごす時間。
笑顔で過ごせるようにしたいですね。